著者プロフィール                

       
もやし 〜 『一隅を照らす』特別連載(その6)

市川 博昭

昭和7 年、静岡県生まれ。旧制静岡高等学校1 年修了後、新制東京大学文学部仏文科、法学部公法学科卒業。国家公務員六級職(法律)試験合格、農林省入省。退官後、協同組合飼料工業会常務理事、帝蚕倉庫取締役現業副本部長を経て、同代表取締役社長。(財)大日本蚕糸会監事を歴任、現在に至る。

もやし 〜 『一隅を照らす』特別連載(その6)

 もやし人間は頼りないが、野菜のもやしは食卓の主役である。スーパーの店頭で日影の存在であるが、他の野菜が高騰しても、年中価格が安定し、物価の優等生で、まさに日本の食卓を支える縁の下の力持ちである。コンピューター制御の大規模工場で大量に生産される。日本のもやしは大別して「黒」と「緑」の2種類である。スーパーの店頭に並ぶ一般のもやしは緑豆(リョクトウ)で、飯塚商店が育てる黒豆(ブラックマッペ)は戦後のミャンマー産である。もやし消費に火をつけたのが、1960年代以降のラーメンブーム。特に味噌ラーメンの人気である。この主役は細くて長い「黒」もやしである。

 

 ところが日中国交正常化で、緑豆輸入が再開し、89年に成田食品(福島県相馬市)が投入した「ベストもやし」で、軸が太く、根が短い緑豆もやしのシャキシャキの歯ごたえが消費者に受けた。目下、もやしの9割以上を緑豆が占める。劣勢に立たされた「黒」は風味があると九州中心に焼きそば店を40以上展開する想天恋(大分県日田市)がカープファンと一緒に盛り返している。この市場に最近「黄色」の小ぶりの大豆を原料としたもやしが「大豆イソフラポン」を豊富に含む健康志向で頭角を現し、「緑」や「黒」のほか「黄」が出てきた。三色巴合戦である。

『一隅を照らす』特別連載 【全37回】 公開日
(その1)狸二度目の対面 2019年4月11日
(その2)初雪 2019年6月28日
(その3)ストレス 2019年7月5日
(その4)終戦の日 2019年8月26日
(その5)人生に寄り道なし 2019年9月6日
(その6)もやし 2019年10月4日
(その7)教養主義 2019年11月1日
(その8)黄色いマーク 2019年12月6日
(その9)冷蔵庫 2020年1月10日
(その10)根 気 2020年2月7日
(その11)小田急が学生寮開業 2020年3月6日
(その12)コンパクト・シティ 2020年4月3日
(その13)行政の電子化 2020年5月1日
(その14)地域密着型弁護士 2020年5月29日
(その15)座るとき、どうこいしょ 2020年6月30日
(その16)市民農園 2020年7月31日
(その17)ALS(筋萎縮側索硬化症) 2020年8月31日
(その18)卵 2020年9月30日
(その19)生きがい 2020年10月30日
(その20)からだ測定会 2020年11月30日
(その21)高齢者が高齢者を支える金融モデル 2020年12月28日
(その22)孤独 2021年1月29日
(その23)猫の日 2021年2月26日
(その24)首都圏の私大が都心へ回帰 2021年3月31日
(その25)さくら 2021年4月30日
(その26)箱根山 2021年5月28日
(その27)腎臓透析 2021年6月30日
(その28)おもてなし続編 2021年7月30日
(その29)筋肉 2021年8月31日
(その30)地域医療の行方 2021年9月30日
(その31)富士山 2021年10月29日
(その32)高齢の認知症老人は暴力的か 2021年11月30日