著者プロフィール                

       
さくら 〜 『一隅を照らす』特別連載(その25)

市川 博昭

昭和7 年、静岡県生まれ。旧制静岡高等学校1 年修了後、新制東京大学文学部仏文科、法学部公法学科卒業。国家公務員六級職(法律)試験合格、農林省入省。退官後、協同組合飼料工業会常務理事、帝蚕倉庫取締役現業副本部長を経て、同代表取締役社長。(財)大日本蚕糸会監事を歴任、現在に至る。

さくら 〜 『一隅を照らす』特別連載(その25)

 「さくら散る」は受験失敗の通知電報である。正に桜のシーズンは受験のシーズンでもある。日本人が桜をこよなく愛ずるのは、その散り際の潔さに共鳴するからでもある。恩田川の桜、千鳥ヶ淵の夜桜にひかれて、よく夫婦で出かけたものである。いつも大変な人混みで夜桜を鑑賞するよりも人波にもまれるそぞろ歩きの興奮が懐かしい。この時期の天気予報は、桜前線の北上を追うことに忙しい。さくらは全国一斉に咲くのではなく、九州から北海道まで北上する流れが日本人の心情を揺さぶる。我が家にも今から45年前豊島園近くの都営住宅時代に植えた桜を転々と持ち続けてきたもので、あまりに大木になり、害虫も付き、涙を流して、切り株にした。桜は庭木には適さない。桜並木とか桜通りといわれるように群生して咲くに似つかわしい。

 この頃天気予報は桜の満開の北上を伝えるのに忙しい。北から南まで全国がさくらに浮かれ、沸き立つシーズンでもある。そして、4月は進学の時期であり、桜はその門出を祝う。日本人の心である。北面の武士西行が「願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月の頃」と在原業平の「世の中に絶えて桜のなかりせば、春の心はのどけからまし」が日本人の裏表両面の心である。なお、3月27日はさくらの日。平成4年(1992)に、日本さくらの会が制定した。今年の東京の桜開花は3月17日で例年より9日早い。

『一隅を照らす』特別連載 【全37回】 公開日
(その1)狸二度目の対面 2019年4月11日
(その2)初雪 2019年6月28日
(その3)ストレス 2019年7月5日
(その4)終戦の日 2019年8月26日
(その5)人生に寄り道なし 2019年9月6日
(その6)もやし 2019年10月4日
(その7)教養主義 2019年11月1日
(その8)黄色いマーク 2019年12月6日
(その9)冷蔵庫 2020年1月10日
(その10)根 気 2020年2月7日
(その11)小田急が学生寮開業 2020年3月6日
(その12)コンパクト・シティ 2020年4月3日
(その13)行政の電子化 2020年5月1日
(その14)地域密着型弁護士 2020年5月29日
(その15)座るとき、どうこいしょ 2020年6月30日
(その16)市民農園 2020年7月31日
(その17)ALS(筋萎縮側索硬化症) 2020年8月31日
(その18)卵 2020年9月30日
(その19)生きがい 2020年10月30日
(その20)からだ測定会 2020年11月30日
(その21)高齢者が高齢者を支える金融モデル 2020年12月28日
(その22)孤独 2021年1月29日
(その23)猫の日 2021年2月26日
(その24)首都圏の私大が都心へ回帰 2021年3月31日
(その25)さくら 2021年4月30日
(その26)箱根山 2021年5月28日
(その27)腎臓透析 2021年6月30日
(その28)おもてなし続編 2021年7月30日
(その29)筋肉 2021年8月31日
(その30)地域医療の行方 2021年9月30日
(その31)富士山 2021年10月29日
(その32)高齢の認知症老人は暴力的か 2021年11月30日
(その33)配膳のマナー 2021年12月28日
(その34)下垂体卒中 未公開