著者プロフィール                

       
おもてなし続編 〜 『一隅を照らす』特別連載(その28)

市川 博昭

昭和7 年、静岡県生まれ。旧制静岡高等学校1 年修了後、新制東京大学文学部仏文科、法学部公法学科卒業。国家公務員六級職(法律)試験合格、農林省入省。退官後、協同組合飼料工業会常務理事、帝蚕倉庫取締役現業副本部長を経て、同代表取締役社長。(財)大日本蚕糸会監事を歴任、現在に至る。

おもてなし続編 〜 『一隅を照らす』特別連載(その28)

 2013年の国際オリンピック総会で、滝川クリステルさんが、フランス語のプレゼンテーションスピーチの中で、ただ一言「おもてなし」だけを日本語で伝え、「おもてなし」が2013年の流行大賞に選ばれた。

 外国を旅行して一番頭を悩ますのが、チップで公衆トイレでもチップを要求される。レストランで一番悩むのがこれまたチップで、金額を算定するのが一苦労である。チップなしでおもてなしを受け、訪日外国人が日本の魅力の一つに必ず上げる。手厚いサービスが追加料金やチップなしで受けられることは外国人にとって驚きである。一方、サービス業の労働生産性は低いとされる。ということは日本では「サービスは無料」という意識があり、質の高いサービスを安く提供して、労働生産性を低くしている。例えば、宅配サービスは海外で高く評価されている。しかし、人手不足と利用者の急増を背景に夜の時間帯指定サービスを廃止したり、料金改定の動きが出ている。標準サービスと追加サービスを明確に線引きし、サービス内容に適した料金体系にすれば、過剰サービスの抑制と従業員の賃金アップにつながる。質の高いサービスを維持するためには、個々の働きに応じた報酬や人事評価が必要である。「おもてなし」という日本文化の美しい言葉の響きに流されず、しっかりした労働管理をしないと優秀な人材が逃げ出す始末となる。

『一隅を照らす』特別連載 【全37回】 公開日
(その1)狸二度目の対面 2019年4月11日
(その2)初雪 2019年6月28日
(その3)ストレス 2019年7月5日
(その4)終戦の日 2019年8月26日
(その5)人生に寄り道なし 2019年9月6日
(その6)もやし 2019年10月4日
(その7)教養主義 2019年11月1日
(その8)黄色いマーク 2019年12月6日
(その9)冷蔵庫 2020年1月10日
(その10)根 気 2020年2月7日
(その11)小田急が学生寮開業 2020年3月6日
(その12)コンパクト・シティ 2020年4月3日
(その13)行政の電子化 2020年5月1日
(その14)地域密着型弁護士 2020年5月29日
(その15)座るとき、どうこいしょ 2020年6月30日
(その16)市民農園 2020年7月31日
(その17)ALS(筋萎縮側索硬化症) 2020年8月31日
(その18)卵 2020年9月30日
(その19)生きがい 2020年10月30日
(その20)からだ測定会 2020年11月30日
(その21)高齢者が高齢者を支える金融モデル 2020年12月28日
(その22)孤独 2021年1月29日
(その23)猫の日 2021年2月26日
(その24)首都圏の私大が都心へ回帰 2021年3月31日
(その25)さくら 2021年4月30日
(その26)箱根山 2021年5月28日
(その27)腎臓透析 2021年6月30日
(その28)おもてなし続編 2021年7月30日
(その29)筋肉 2021年8月31日
(その30)地域医療の行方 2021年9月30日
(その31)富士山 2021年10月29日
(その32)高齢の認知症老人は暴力的か 2021年11月30日