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おわりに 〜 私の良き時代・昭和!(その31)

森田 力

昭和31年 福岡県大牟田市生まれで大阪育ち。
平成29年 61歳で水産団体事務長を退職。
平成5年 産経新聞、私の正論(テーマ 皇太子殿下ご成婚に思う)で入選
平成22年 魚食普及功績者賞受賞(大日本水産会)
趣 味  読書、音楽鑑賞、ピアノ演奏、食文化探究、歴史・文化探究

おわりに 〜 私の良き時代・昭和!(その31)

 時代は平成から令和の時代へと流れていく。私が子供の頃、祖母は明治の人で明治、大正、昭和の激動の三代を生きてきたことに「凄いな」と思っていたし巷でも「明治は遠くなりにけり」といわれた。しかし、今度は私の世代が昭和、平成、令和という三代目の時代を生きていくこととなる。

■明治維新という革命から世界の列強に追い付き追い越せという旗印の下で、我武者羅に富国強兵を推し進めたが、維新後八〇年あまりで積み上げてきた汗と涙の国家体制は世界大戦の敗戦で消滅し主要都市は廃墟と化した。そういう激動の連続を経験した明治世代と、平和と繁栄の中で生まれた我々昭和中期世代ではその苦しみや悲しみなど悲惨な経験値の大きさは全く違う。また一方で家族愛や愛国心についての深さ(絆)は昭和生まれには希薄なものとなってしまった感は否めない。その傾向は時代を重ねる度により薄っぺらいものになっているような気がしてならない。

■しかし時代が進めば進むほど、社会は細分化され、生存という面から見れば多くの人からの助け(支え)がないと生きていけない時代となったことは事実であり、言い換えると、人間は何一つできない欠落した生き物となってしまったともいえる。更に時代の流れとともに倫理意識の低下や道徳の価値観も低下しつつ多様化していけば人々の考えもそれに合わせて低下しながら変化していくものである。仕方がないといって諦めるのではなく、文化を感じつつ主体性のある幸せな人生を送っていきたいものである。

 この作品は筆者の過ごした昭和の一面を体験談とともに自由に描いたもので、何等価値のあるものではないことは筆者が一番理解している。しかし、今思えばITやテレビゲームのなかった少年時代、仲間とともに遊んだ昭和が実に楽しかったのである。昭和の楽しい思い出を伝えたいという気持ちもあり、一気に書き上げてしまったという他ない。

 この続編についてだが、実は他のテーマについて執筆も考えていることから、一応続くということにして一先ずペンを置くこととする。

私の良き時代・昭和! 【全31回】 公開日
(その1)はじめに── 特別連載『私の良き時代・昭和!』 2019年6月28日
(その2)人生の始まり──~不死身の幼児期~大阪の襤褸(ぼろ)長屋へ 2019年7月17日
(その3)死への恐怖 2019年8月2日
(その4)長屋の生活 2019年9月6日
(その5)私の両親 2019年10月4日
(その6)昭和三〇年代・幼稚園時代 2019年11月1日
(その7)小学校時代 2019年12月6日
(その8)兄との思い出 2020年1月10日
(その9)小学校高学年 2020年2月7日
(その10)東京オリンピックと高校野球 2020年3月6日
(その11)苦慮した夏休みの課題 2020年4月3日
(その12)六年生への憧れと児童会 2020年5月1日
(その13)親戚との新年会と従兄弟の死 2020年5月29日
(その14)少年時代の淡い憧れ 2020年6月30日
(その15)父が父兄参観に出席 2020年7月31日
(その16)スポーツ大会と学芸会 2020年8月31日
(その17)現地を訪れ思い出に浸る 2020年9月30日
(その18)父の会社が倒産、広島県福山市へ 2020年10月30日
(その19)父の愛情と兄の友達 2020年11月30日
(その20)名古屋の中学校へ転校 2020年12月28日
(その21)大阪へ引っ越し 2021年1月29日
(その22)新しい中学での学校生活 2021年2月26日
(その23)流行った「ばび語会話」 2021年3月31日
(その24)万国博覧会 2021年4月30日
(その25)新校舎での生活 2021年5月28日
(その26)日本列島改造論と高校進学 2021年6月30日
(その27)高校生活、体育祭、体育の補講等 2021年7月30日
(その28)社会見学や文化祭など 2021年8月31日
(その29)昭和四〇年代の世相 2021年9月30日
(その30)日本の文化について 2021年10月29日
(その31)おわりに 2021年11月30日