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特別連載インタビュー

文章を書く人が生き残るために考えるべきことは若い人たちがどうやって言葉にアクセスするのか

──創作のペースはどれくらいですか

 羽田:単行本でいったら年に1冊ぐらいなので、そんなに早いほうではないですね。ただ、昔よりは執筆ペースは上がってます。ほとんど他の仕事をやらないで1年に1冊だったのが、今はあれこれやりながら年1冊ですから。テレビとか出て小説は手を抜いてるんじゃないのとか、小説読まない人に限ってそんなこと言うんですが、早くなってますからね(笑)。

──執筆中に、つまずいたり、ひっかかったりしたら、どうやって解決しますか

 羽田:スムーズに書けないとき、時間が解決してくれることもありますが、あまり期待はできない。二晩とか寝ても、解決しない。手を動かすしかないかなぁ。ノートとか紙切れとかに、止まっているシーンの構成要素、抱えている問題等を書きだします。頭脳には期待せずに、軽い気持ちで矢印とか書いて、こういう展開はあるよなとか、ダメ元でデタラメに書いていく。手を動かしていると、突破口が見えてきます。ダメ元でそれをやるかどうかが大事です。あるいは、もう見切り発車で再開する。書いているうちに突破口が生まれたり、解決したりするんですよ。先日書き終わった短編も、ラストに悩んでいるまま書いているうちに、自然な流れで、あっ、これいい感じだって、きれいに終われました。基本的にはコントロールするつもりで書いているんですけど、つまずいたときは偶然性にまかせて、なにかしらアクションを起こす。手を動かしていると、自分のなかの無意識のものが出てくるんだと思います。

──プロになってから、読書のペースや読み方は変わりましたか?

 羽田:小説家である前に読書が好きですし、週に1冊ぐらいは読んでいます。読むことが趣味であり仕事であり、という立場になっているわけですが、デビュー前に漫然と読書を楽しんでいたころより、ずっと楽しめています。「この表現はいいな」とか、「なるほどこういう思考の流れか」とか、書く視点でいるほうが、うまさや巧みさに気づける。書くことで読む技術も上がる。僕の家にはテレビがありません。だから自分が出演したテレビ番組も見ません。自分が出てる番組を見るぐらいなら、他人が書いた小説を読みますよ。

──最後に、小説家になりたい、小説を書きたい、という人にアドバイスをいただけますか

 羽田:まずは、自己表現系のSNSのアカウントを全部削除したほうがいいです。これだけは万人に共通する有益なアドバイスだと自負しています。以前に雑誌のコラムにも書いたことがあるんですが、皆、「そうかもしれないけど、自分だけは例外。情報を得るツールとしても便利だし…」等、手放そうとしない。それこそが、自己表現手段としてすがっちゃっている証左なわけです。創作意欲を小説以外のもので発散しないほうがいい。もっと大事にすべきです。勿論、SNSにはカウンセリングの効能もあり、創作に興味のない人が心のセルフカウンセリングのような感じで発散するのは否定しません。しかし創作をしたい人となると別です。発散して心の平穏を得られても、創作意欲も同時に失われる。僕も各SNSのアカウントは持っていますが、宣伝か、仕事にからめた投稿しかしていません。プロにはキャラづくり等色々な狙いがあるわけです。デビューもしていないのに創作した気になったり、小出しに発散したりしたらダメです。SNSをやめて、集中して書いたほうがいい。SNSとかがきっかけで表面的にデビューしたみたいになったりしても、じゃあ小説家として残るかっていったら残らないわけですよ。やらなくてもいいことをやって自滅してはいけない。余計なことはせずに、腰据えて書くしかないです。肉体は脳とつながっているので、料理を作るとか、運動するとか、身体を動かすのは大事。創作意欲をなにかで紛らわすのだけはやめたほうがいい。小説家になりたいならSNSはやめましょう。

Interviewer=篠原知存
Photographer=三原久明

著者プロフィール

羽田 圭介はだ けいすけ

1985年、東京都生まれ。明治大学卒業。2003年、『黒冷水』で第40回文藝賞を受賞し、17歳でデビュー。2015年、『スクラップ・アンド・ビルド』で第153回芥川龍之介賞を受賞。著書に『不思議の国のペニス』『走ル』『ミート・ザ・ビート』『御不浄バトル』『「ワタクシハ」』『隠し事』『盗まれた顔』『メタモルフォシス』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』『5時過ぎランチ』『ポルシェ太郎』などがある。

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