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嵯峨野 嘉竹 詩集 〜 詩集(その1)

嵯峨野 嘉竹

著者:嵯峨野 嘉竹
詩集3冊、私小説「私は猫なのね」などの自著がある。

嵯峨野 嘉竹 詩集 〜 詩集(その1)

ありがとう

 

満ち足りて逝く
そんな人生を送れる実感が沸き上がる

 

嬉しさに泣いた夜
悔しさに寝つけなかった夜
そんなときに
友の顔が瞼の中で優しく慰め励ましてくれた
可能性を知り尽くせずに自分を卑下し続ける日々の中で
新たな自分の能力の一部分に触れたとき
感激と共に 生きる意欲が沸く事を知った
そのとき 側には居ない友に生かされていたことに気付いた
いつも輝いた瞳が素敵で
笑いかけてくれていた友に感謝の涙が流れた
私には何もできないのに許してくれる友に
今は素直に その大切な言葉が言える自分が嬉しい
ありがとう

 

 

私と視線

 

私の目に映っているものは何だと思いますか
君は気になりますか
私の気になることは
君の視線を釘付けにしているもの
君の瞳に見つめられるものは何かということです
正直に言いますね
私の視線に触れるものは 君の姿です
そして
その君の視線の先にあるものとは
多分 道端のあの小さな花なのでしょう
花が可愛い胸を誇らしげに張っているから
風はその幼い頭を微笑みながら優しく撫でてゆくのです
そのたびに その小さな体を揺すりながら
顔を見合わせて嬉しそうに笑う
そんな 可憐な花達の眼差しさえ虜にしてしまうものとは
君の姿であり そして
柔らかな陽射しに戯れる風のおどけた仕草と
それを見守る広い青空
その中を呑気そうに流れるふっくらした雲の惚けた風情
そして
それを見る情なさそうな表情の私の存在

 

 

希望を

 

あなたがその泣き言を受け留めてくれる度に
人の苦悩を一つづつ拭い取ってくれる

 

あなたの語る言葉の一言一言が
人に愛を語り

 

あなたの見つめる優しい目差しが
人に安らぎの瞬間を与える

 

あなたの差し出す手の温もりが
人に生きる勇気を伝え

 

あなたの生きる姿勢が

人に人としてのプライドとは何かを差し示す
            

詩集 【全12回】 公開日
(その1)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年7月17日
(その2)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年8月26日
(その3)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年9月6日
(その4)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年10月4日
(その5)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年11月1日
(その6)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年12月6日
(その7)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年1月10日
(その8)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年2月7日
(その9)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年3月6日
(その10)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年5月1日
(その11)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年5月29日
(その12)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年6月30日