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嵯峨野 嘉竹 詩集 〜 詩集(その6)

嵯峨野 嘉竹

著者:嵯峨野 嘉竹
詩集3冊、私小説「私は猫なのね」などの自著がある。

嵯峨野 嘉竹 詩集 〜 詩集(その6)

生きる者達へ

 
幾年生ける者達へ
時間に持て遊ばれ 運命に翻弄され
それでも生きなけれぱならぬ者達へ
朝日は 時間の置き忘れ物のように途絶える時を数えつつ
その日が今日でない事を確かめるように昇り
落日は いつ果てるとも知れぬつるべ落としを無責任に繰り返す
生きる事に執着を持ちながら 一日一日を無駄に費やす者達
死ぬ事に恐怖感を覚えながら 死に急ぎの道を辿る者達
それでも生き続ける者達へ
 
 

人生とは

 
気紛れに始まり 気紛れに終わるもの
命とは薄められるものであり
歴史は清めることなく薄められ消え去るもの
人は争いを好み強欲を持って生まれる
社会は人に罪を犯させ
声を忘れた人々は 夫々に大切な一言を伝えられず
無意味な争いを繰り返し引き起こさせる
伝えることすらなくなった思慮は
大人が無垢な子供たちに その償いを継がせる
それでも君達は選ばれた者なのだと認識しなければならない
然して 生まれる事に偶然はなく 生き続ける事に努力は存在する
生きることに意義は派生し
生を受けずした者達に それを知る術はない
生きるとは自問自答の繰り返し
人生修行とは 耐えることではなく
真理・倫理・論拠を問い 希望を叶える道程である
もし何もせず老い去らばえて実のない人生を振り返ったなら
きっとそこには後悔しか残らないだろう
してみると
時間には命が在るのだと思えないか
と同時に 朧気ながら生の心髄が見えたような気がしないか
 
豊かさはゆとりをもたらす反面 ものの価値を見失わせることもあり
反対に その存在を過剰評価させてしまうこともある
 
貧しさは卑屈な精神を生む危険性を孕む反面
逞しい精神力を育み 人の痛みを知り
理解し合うことの大切さを気づかせる可能性を秘めている
 
価値を知る者は
愛しさも安らぎも生まれてくるものではなく
自然に在るものだと気づく
誰もが持っている愛情
自分を真摯に愛し人を慈しむ姿勢
そこにあなたの輝きが在る
 
 

 
幸せなとき程 それと気づかないもの
 
幸せを実感するときこそ正に至福のとき
 
幸せを求め過ぎれば心に隙が生じ
欲望と名を変えた傲慢という魔物が忍び寄る
 
不幸とは 他人の僅かな幸せを妬むこと
そして 自分の今の恵みに気付かないこと
 
 

詩集 【全12回】 公開日
(その1)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年7月17日
(その2)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年8月26日
(その3)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年9月6日
(その4)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年10月4日
(その5)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年11月1日
(その6)嵯峨野 嘉竹 詩集 2019年12月6日
(その7)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年1月10日
(その8)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年2月7日
(その9)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年3月6日
(その10)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年5月1日
(その11)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年5月29日
(その12)嵯峨野 嘉竹 詩集 2020年6月30日