執筆お役立ちコラム

自分史の書き方講座

誰にでも人生を歩んできた長い歴史があります。無邪気に遊んだ子供時代、一生懸命勉強やスポーツに明け暮れた学生時代、そして多くの苦労と喜びを味わった社会人時代。どの時代もあなたの大切な歴史であり、一つとして同じではない、かけがえのない物語。

そのような貴重な思い出を「自分史」という形で綴ることは、多くの人にとって有益な情報となるでしょう。また「自分史」を作り上げる際には、「思い出す」という作業が必要になるため、認知症予防にもなります。最近では就職活動のアピール材料を見つけられる点で、若者の間でも自分史制作が注目されているほど人気です。

今回はそのような自分史を書きたいすべての方のために、その手順をわかりやすくご説明していきます。

 

自分史を書く目的を定めよう!

自分史制作は1日や2日でできることではありません。数ヶ月、人によっては何年という月日をかけて制作していく一大プロジェクトです。

だからこそ「自分史をなぜ書くのか」という目的をしっかり決めることがとても大切です。

自分史を書くのが少し大変な時でも、その目的を確認することで書き綴っていくモチベーションが維持できます。また目的が明確になっていれば途中の遠回りが減り、時間をかけたらかけた分だけしっかり形になるはずです。

以下、自分史を書く目的を3つご紹介しますので、こちらを参考にしながら自分史を書く目的を明確にしてみてください。

 

自分史を書く目的その1――自分の経験を伝える

自分史を書くことによって、あなたが人生を生き抜いてきた歴史が記録として残ります。ご家族の人達にとって、それが人生で迷った時の道しるべとなることは間違いありません。

さらに出来上がった本を国会図書館に献上して保存すれば、もしかすると何年後かに誰かが歴史を研究するための資料として活用するかもしれません。「自分の経験を未来に残す」というのは、自分史制作の一番の目的とも言えるでしょう。

 

自分史を書く目的その2――コミュニケーション力のアップ

自分史はあなたを知らない人が、あなたを理解するための良いツールとなりえます。仮に書き上げた自分史を読んでもらわなかったとしても、自分史を書いたことを通じて自分の人柄や経験した思い出があなたの中でしっかりと整理され、上手に人にそれを伝えられるようになります。特に若い人にとっては仕事での自己PR材料が見つかり、さらに自分のやりたいことや進むべき道が明確になるという点でとても有益です。

 

自分史を書く目的その3――脳の活性化

最近は脳の活性化のために「回想法」が注目されています。高齢者の方が、昔の思い出の家庭用品や写真を見たりそれについて語り合ったりすることで、結果的に認知症の予防になるという、アメリカで誕生した心理療法です。昔のことを思い出して話をすることや、人の経験を聞くことで、活動性や集中力の向上が見込めます。

この「回想法」の実践として、数名のグループで話をするといった方法が一般的ですが、もちろん詳細に昔の記憶を呼び起こす「自分史制作」でも十分同じ効果が期待できます。このような目的で自分史を書くのもおすすめです。

 

年表はできる限り詳しく綴ろう!

目的を明確にしたら、まずは年表を丁寧に作っていきましょう。いきなり文章を書き始めると、それほど重要ではない出来事に多くの文字数と時間をかけてしまったり、逆に書かなければいけないことを書き忘れてしまったりといったことが起こります。また年表を詳しく書くと、出来事の前後関係も明確になり、執筆に取りかかった時に書き直しがなくなります。

年表の書き方は以下の2ステップです。

 

ステップ1:まずは箇条書き

年表自体は自分史そのものではないので、それほど凝って作る必要はありません。自分でわかれば十分です。まずは箇条書きで出来事と起こった時期を書いていきましょう。

 

ステップ2:時系列順に整理

十分に出来事が洗い出せたら、それらを時系列順に並べていきましょう。歴史の教科書に書かれている年表などを参考に、項目を決めていくと良いでしょう。

時系列順に整理してみると、極端にエピソードが少ない時期があるものです。その時期のことを集中して思い出して空白を埋めていくことで、漏れなく自分の歴史を思い出すことができます。

 

目次作りは特に重要!

年表をできるだけ細かく書き上げることができたら、続いて本の構成を明確にしていきます。

1,000~2,000文字といった少ない文章であれば、書きながら構成を考えていくことも不可能ではありませんが、10万文字、20万文字といった膨大な文字数になってくると、そのような行き当たりばったりの書き方では、何をどこに書いたのかもわからなくなり、行き詰まります。

目次作りをすることで、膨大な分量が「少ない文章の集まり」という形に細分化されて、無理なく書き進めていくことができるようになるのです。

目次の作り方は以下の2ステップです。

 

ステップ135項目程度に大まかに分ける

自分史の目次は「子供時代」「青年時代」「社会人時代」といった形で、まず3つに構成を分けることができます。さらに「独身時代」「○○会社勤務時代」など、作成した年表のボリュームと見比べながら、もう少し詳細に項目分けしても良いでしょう。

 

ステップ2:それぞれで書きたいエピソードを小見出しにしていく

それぞれの見出しの中で特に大切で伝え記しておきたいことをピックアップしつつ、さらに細かな見出しに分けていきましょう。極力各見出しの配分が均等になるように心がけると、一定のペースで執筆が進み続けやすくなります。

今回は自分史を書く際に特に重要となる、「目的」「年表」「目次」に注目して、自分史の書き方についてご紹介しました。

これらは、自分史の最終的な出来栄えを左右する大切な工程となります。土台がしっかりしていれば、書くのも楽しくなるはずです。ぜひしっかりと時間を取って、「目的」「年表」「目次」を練り上げましょう。

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