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私家版(私家本)とは?魅力的な一冊を作る流れと制作の注意点を解説

私家版(私家本)という言葉を聞いたことがありますか?
「売るための本ではなく、身近な人に届けたい。」そんな思いを持つ場合の出版方法としておすすめなのが私家版です。

近年では、スマホアプリの普及に伴い、子供の成長記録やブログを書く人が増えています。
せっかく書き溜めた、それらの記録や手元にある原稿・詩・写真集などの作品を形に残したいと考える人も多いでしょう。私家版で書籍や冊子にすれば、周りの人と、思い出や作品の感想を共有できるはずです。このコラムでは、そんな私家版についての、制作メリットや方法、注意点を具体的に解説します。

私家版(私家本)とは

普段あまり聞きなれない「私家版」について、その定義や制作メリット、どんなジャンルがあるのかを詳しく見ていきましょう。

私家版の定義は?

私家版(私家本)とは自費出版の一形態で、書店では流通させず、家族・親戚・友人、その他身近な人などの狭い範囲に配る目的として制作された書籍のことをいいます。

私家版の目的やメリットは?

個人的な記録や、用途別の冊子など私家版制作の目的は様々です。
私家版の特徴としては、限られた身近な人に向けて制作されること、用途やターゲットが明確なので、書籍の目指すゴールを達成しやすい点が挙げられます。不特定多数の読者ではなく、想定された一部読者の目的を目指した一冊を制作できるのが私家版出版のメリットと言えるでしょう。

私家版出版ジャンルの例

私家版と聞いても、どのようなジャンルがあるかピンとこない方も多いのではないでしょうか。私家版での出版例として下記ジャンルが挙げられます。

・自分史
・闘病記
・旅行記
・社史
・会社案内
・詩集・短歌集 など

近年では、個人で書き溜めたブログや子供の成長記などを私家版で制作する需要も増しています。スマートフォンやパソコン内に書き溜めているだけでは、自分の覚え書きで終わってしまいますが、書籍にすれば後に思い出を周囲の人と共有することも可能に。「本にして形に残したい」「限られた近しい人に見せたい」そんな要望を叶えてくれるのが私家版制作なのです。

私家版と自費出版との違いは?

私家版と自費出版には、どのような違いがあるのでしょうか?ここでは、私家版と自費出版との違いを解説します。

自費出版と私家版との違い

自費出版とは、費用を作者自身が負担して出版する方法のことです。私家版(私家本)も著者自ら費用を負担する点で自費出版の定義に含まれます。自費出版のなかでも、流通を目的としない書籍を私家版と分類するのです。
また、自費出版のうち、私家版では、ISBN(国際標準図書番号)を付与しない特徴があります。私家版の場合、流通を目的としないので、このISBNコードを付ける必要がありません。ただし、後々流通を考える可能性のあるケースでは、私家版でも希望してISBNコードを付与する場合もあります。

私家版の著作権・出版権はどうなる?

書籍を出版する際の代表的な権利として著作権と出版権があります。これら、著作権と出版権の定義や、私家版を制作するうえでの権利の扱いについて確認しましょう。

著作権とは
小説、写真、音楽などの芸術作品や表現(著作物)を作者の財産として守る権利のこと。

出版権とは
著作財産権のうちの一つで、著作物の出版をコントロールする権利のこと。

自費出版や私家版の場合も、著作権は作者の権利として尊重されます。ただし、出版権は、自費出版の場合、出版社との取り決め(契約)によって著者が権利を持つのか出版社が権利を有するのかが変わります。一方、私家版の出版権は作者が持つことになり、出版社に出版権はありません。

私家版の流通

私家版の書籍は、書店などの一般的な流通に乗らない特徴があります。しかし、販売してはいけない訳ではありません。大きなセールスは期待出来ませんが、目的に応じてオンラインショップや文学フリマで売ることも可能です。

私家版をつくるには

私家版制作の流れ

私家版制作では、まず、本にするための原稿や作品が必要です。原稿が整ったら、次は出版社に依頼します。この時、制作部数や私家版作りの目的、予算や納期の目安を考えておくとスムーズに進むでしょう。

出版社の選び方

出版社選びによって、制作する書籍の完成度に大きく差が出ます。出版社を選ぶ時には、自費出版の中でも特に私家版制作のノウハウがあるかを確認しましょう。また、あなたが出版しようと考える私家版のジャンル(自分史、詩集、旅行記など)の実績があるかもチェックしておくと安心です。

私家版出版の費用

私家版出版は、流通を目的とする他の出版に比べて発行部数が少ないため、出版にかかる費用も少額になります。書籍の仕様や部数、依頼の範囲によって費用に差はありますが、目安として五十冊の依頼で、およそ二十万~八十万円の相場であることが多いようです。

私家版制作の注意点は?

私家版出版で後悔しないために、どんなことに注意すれば良いでしょうか。私家版制作にあたって注意すべき項目を解説します。

私家版出版の目的をはっきりさせる

〇なぜ私家版を出版するのか?
〇私家版制作した本を誰に届けたいのか?
〇どんなジャンルで私家版を制作するのか?
最低限これら三つの項目は答えられるようにしておきましょう。

予算をかければ、リライト作業などのサポートや書籍の仕様などクオリティの高い書籍が完成するかもしれません。しかし、私家版制作の目的が家族や親戚の記念のためなのだとしたら、そこまで金額を出して本の仕様にこだわる必要はないでしょう。
後悔しないためにも、満足度の高い私家版出版を目指すなら、まずは制作の目的を整理することが大切です。

出版社選びに注意

理想通りの私家版制作をするためには出版社選びにも注意が必要です。
特に費用面では、一社の見積もりのみで決めるのではなく、少なくとも二社以上の出版社を比較して決めるようにしましょう。また、依頼の際は、最低発行部数や、サポート範囲、私家版出版の実績や希望するジャンルのノウハウが十分かを確認する必要があります。満足できる私家版出版になるかは、この出版社選びが大きく左右するのです。

私家版制作のまとめ

このコラムでは「私家版」について、その定義や制作の流れ、注意点を解説しました。

私家版は自分で費用を負担して出版する自費出版のうちの一つです。大きな特徴としては、書店での一般流通を目的としない点が挙げられます。身近な人に向けて明確な目的のもとで作られるので、より思いが伝わりやすい一冊を制作できることが私家版のメリットです。

私家版制作の流れは他の自費出版とほぼ同様。本の元となる原稿作成後に出版社を選定して依頼します。ただし、私家版は書店での流通を目的としないため制作時にISBNコード(国際標準図書番号)を付与しないのが一般的です。

私家版制作で後悔しないための注意点として「出版の目的を明確にする」「出版社選びを慎重に」の二点が挙げられます。制作前に、なぜ私家版を出版するのか、誰にとどけたいのかをはっきりさせておくと、明確なゴールのもとに、読者へ思いの届く一冊が仕上がるはずです。また、出版社選びの際は、予算を決めたうえで少なくとも二社以上から見積をとって比較しましょう。出版社ごとに、依頼できる最低発行部数やサポート範囲、私家版制作の実績も確認すると安心して任せられるか判断材料になりますよ。

これらを参考に、是非あなたの思いが詰まった一冊の私家版を制作して下さい。

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