自費出版について

自費出版の費用はどれくらい?費用相場や内訳を紹介

「自費出版で絵本や写真集を出したい」と考えたとき、費用が気になる方も多いのではないでしょうか。 一般的な自費出版の費用相場は、大手出版社の自費出版部門で200~300万程度です。

ただし近年では「オンデマンド出版」「電子書籍」などを使い、比較的費用を抑えて出版できるケースもあります。 ただし費用だけにこだわって自費出版を進めてしまうと、「満足できない仕上がりになる」「自費出版の目的が達成できない」といった可能性もあるため注意が必要です。

この記事では「自費出版の方法」や「自費出版でかかる費用の相場・内訳」を紹介します。最期まで読んでいただければ、「あなたにあった自費出版の方法」と「用意すべき費用の目安」がわかります。

自費出版とは?自費出版と商業出版の違い

自費出版は著者が費用を負担して本を出版することです。

本を出版する方法としては、「自費出版」のほかに「商業出版」があります。商業出版では出版社が費用を負担するため、著者に費用負担はありません。 自費出版と商業出版の違いを簡単に紹介します。

自費出版
  • 著者が費用を負担
  • 内容や流通方法(紙、電子書籍、書店流通ありなど)を著者が自由に決められる
  • 誰でも確実に本を出版できる
商業出版
  • 出版社が費用を負担
  • 内容や流通方法については出版社主導で決まることが多い
  • 出版までのハードルが高い

商業出版なら著者の費用負担はありませんが、「ヒットポテンシャルがあると判断された本」のみが出版されるため、出版までのハードルが高く狭き門となっています。

商業出版を目指して出版コンサルタントを利用する方もいますが、コンサルティングを受けたとしても確実に出版にこぎつけられるわけではありません。 一方の自費出版であれば、費用負担はありますが確実に本を出版できます。

自費出版の出版方法を選ぶコツ

自費出版の方法には、主に4つの選択肢があります。

  1. 大手出版社の自費出版部門に依頼する
  2. 自費出版専門の出版社に依頼する
  3. 印刷会社に依頼する
  4. 電子書籍として出版する

それぞれのメリット・デメリットと「それぞれの方法が向いている人」を紹介します。

総合出版社の自費出版部門に依頼する

まずは総合出版社の自費出版部門に依頼する方法があります。総合出版社は商業出版も自費出版も扱っている出版社で、大手出版社がほとんどです。 総合出版社での自費出版には、以下のようなメリットがあります。

  1. 編集者が経験豊富で、的確なアドバイスが可能
  2. 小説や実用書などオールジャンルに対応できる
  3. ライティングやイラスト作成の代行が可能
  4. 書店流通や宣伝・販促に強い

総合出版社はサポート力に優れており、本のクオリティが高まるほか、プロモーションにも期待できます。例えば幻冬舎ルネッサンスでは「読者層に合わせた戦略的な流通」「月間600万回閲覧される幻冬舎ゴールドオンラインへの掲載」などが可能で、メディア掲載実績も多数あります。

一方サポートが充実しているだけに、「費用が高くなる」のはデメリットです。 上記を踏まえると、総合出版社への依頼が向いている方は以下の通りです。

  1. 内容も見た目もクオリティの高い本をつくりたい
  2. 必要とするサポートが多い
  3. 本を書店に流通させて売りたい

自費出版専門の出版社に依頼する

自費出版専門の出版社に依頼する方法もあります。

自費出版専門だと「デザインを自社内で完結できる」「オンデマンド印刷を活用し、少ない部数から出版できる」といった出版社も多く、費用を抑えやすいメリットがあります。印刷・製本に強みがある会社も多いため、コストの割に本の出来栄えも高品質です。

ただし出版社によっては「編集サポートが手薄」「流通・販促面が大手ほど強くない」といったデメリットがあります。 もちろん「編集に強みがあり、熱意をもってサポートしてくれる出版社」もありますが、見極めが難しいのはデメリット。また「流通が小規模で、期待ほど売れなかった」という声も聞くことがあります。 上記を踏まえると、自費出版専門の出版社をおすすめできる方は以下の通りです。

  1. コストを抑えつつ見栄えの良い本をつくりたい
  2. 発行部数は少なくていい
  3. 流通・販売のサポートはあまりいらない

印刷会社に依頼する

印刷会社に印刷・製本だけ依頼する方法もあります。

データを自分で用意し、印刷会社に印刷・製本のみ依頼すれば、コストを抑えられます。また「写真集は写真印刷が得意な印刷会社に依頼する」など、得意分野をもつ印刷会社に依頼することで、本の出来栄えがよくなるのもメリットです。

一方で印刷会社には「本を流通させるノウハウ」「効率的な販促」までは期待できないケースも。 上記を踏まえると、印刷会社への依頼が向いている方は以下の通りです。

  1. コストを抑えつつ、本の出来栄えにこだわりたい
  2. 流通・販売のサポートは必要ない

電子書籍として出版する

電子書籍として出版する方法もあります。 Amazonの「Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)」ですと費用負担なく電子書籍を出版できるので、「自費」ではなく「自己」出版と呼ばれることもあります。また電子書籍出版の手続きを代行する会社も登場しています。

電子書籍はとにかくコストが安いのがメリット。一方で以下のようなデメリットもあります。

  1. 基本的にデータを自分で用意する必要がある
  2. 本がモノとして残らない
  3. 日本では電子書籍の市場規模が小さい(たくさんの人には読んでもらえない)
  4. 無料出版できる電子書籍は信用度が低い

上記を踏まえると、電子書籍がおすすめできる方は以下の通りです。

  1. とにかく低コストで出版したい
  2. 紙の本にこだわりがない
  3. 気軽に出版を経験してみたい

自費出版の費用相場は1,000冊で300万円程度

大手出版社の自費出版部門に依頼する場合、費用相場は「300万円程度(文庫判1,000冊の場合)」です。 ただし実際にかかる費用は以下の要素によって異なります。

  1. 発行部数
  2. 原稿・企画の進捗状況
  3. 本の仕様(サイズやページ数など)
  4. 本の流通方法

例えば以下のような場合には、相場よりも費用が高くなると考えてください。

  1. 自分の企画・構想をもとに、ライターに文章を書いてもらう
  2. 絵本の本文は自分で書き、絵は画家・イラストレーターに描いてもらう
  3. 豪華な装丁にする
  4. アート紙にフルカラー印刷する
  5. ページ数が多い
  6. 本のサイズが大きい・特殊なサイズである

「編集者やライターのサポートが必要か」「デザインやサイズにこだわりがあるのか」「書店に流通させたいのか」によって、費用が変わってくると認識しておきましょう。

自費出版にかかる費用の内訳

続いて自費出版にかかる費用の内訳を紹介します。

見積書に記載される費用名は出版社により異なる可能性がありますが、一般的には以下のような費用がかかります。

編集費用・ライティング費用

編集費用・ライティング費用は「企画・構成・執筆の相談に乗ってくれる編集者」「本文作成を手伝ってくれるライター」に支払う費用です。

編集者が専属で仕事してくれる場合には、30~50万円程度が目安です。依頼する程度が高まるほど、費用も高くなると考えてください。

また本文内や表紙に使うためのイラスト作成や写真撮影をプロに依頼する場合は、イラストレーターやカメラマンへの依頼費用もかかります。

デザイン費

デザイン費は装丁(カバー・表紙・扉・帯のデザイン)にかかる費用です。「カバーにオリジナルのイラストを載せたい」などのこだわりがある場合には、費用は高くなります。

DTP費

DTPとは、Desktop Publishing(デスクトップパブリッシング)の略語。テキストや画像の編集、レイアウトの調整、印刷用のファイルの作成など、印刷物の制作に必要な作業を行うために必要な作業を指します。

DTP費は、デジタル技術やソフトウェアを使用して印刷物や出版物のデータを作成するために必要な費用で、印刷物の種類やサイズ、デザインの複雑さ、ページ数などによって異なります。

なお原稿が手書きの場合には、まずテキストデータをつくる作業が必要です。そのため手書き原稿から自費出版する場合には、別途「入力費」もかかります。

校正費

校正費は文章チェックをしてもらうためにかかる費用です。 校正では「てにをは」「誤字脱字」「表記のゆれ」などをチェックします。 ちなみに「表記のゆれ」とは、「こども」というひとつの単語に対して、「子ども」「子供」などの複数表記が混在することです。

校正の工程で、表記を統一していきます。 校正費は「文章量」「校正の度合い(修正箇所の多さ)」によって変動します。文字数やミスが多く時間がかかる場合には、費用が高くなります。

印刷・製本代

印刷・製本代は印刷・製本にかかる費用で、「用紙の質」「本のサイズ」「モノクロ/カラー」などにより変動します。 例えば「特殊な用紙を使う」「本のサイズが特殊」などの場合、印刷・製本費は高くなります。 なお通常は印刷する部数が多くなるほど、1冊あたりの単価は下がります。

書店流通費用

書店流通費用は「自費出版本を書店・オンライン書店に流通させるための費用」です。本を書店の棚に置いてもらったり、オンライン書店に販売ページをつくったりするために、費用が発生します。

なお本の流通には「ISBNコード(国際標準図書番号)」が必要で、ISBNコード取得にも費用がかかります。ただし「家族・友人だけに配る本」や「イベントなどで直接販売する本」など、書店やネット書店に流通させない本については、ISBNコードは不要です。 またプロモーションも出版社に依頼する場合は、宣伝・販促費用がかかります。

保管料

保管料はできあがった本を出版社などの倉庫で保管するための費用です。保管する冊数にもよりますが、年間5,000~1万円程度が目安です。 保管料は在庫がある限りかかり続けるランニングコストとなります。

自費出版の費用を安くする方法

費用内訳の中から不要なものを削れば、自費出版にかかるコストは少なくできます。 コストを下げるための具体的な方法や、「費用を削る際の注意点」「削らない方がいい費用」を紹介します。

完全データ原稿を作る

完全データ原稿とは「修正・補正が必要なく、そのまま印刷に回せる状態のデータ」のことです。完全データ原稿があれば編集費用や校正費用がかからないので、コストを下げられます。デザインソフトを扱える方なら、完全データ原稿をつくるのはそれほど難しくないでしょう。

ただし自分ひとりで作成した原稿をそのまま印刷に回すと、第三者のチェックが入りません。そのため「内容についてクレームが入る可能性が高まる」「誤字脱字を見逃しやすくなる」といったデメリットがあります。

せっかくの作品にクレームが入ったり、出版後にミスが見つかったりすると残念ですよね。ミスやクレームの可能性を低くしたいなら、編集・校正費用は削らないようにしましょう。 また経験豊富な編集者にアドバイスをもらうことで、「読みやすさ」「読者を惹きつける魅力」が格段にアップするメリットもあります。

安い印刷・製本方法を選ぶ

製本・印刷方法によっては、印刷・製本代を節約できます。例えば以下のような工夫が可能です。

  1. ハードカバー(上製)ではなくソフトカバー(並製)にする
  2. モノクロ印刷
  3. 安い紙を使う

ただし紙質や色が重要な絵本・画集・写真集などは、製本・印刷費用を削らないようにしましょう。出版社の担当者に見本を見せてもらえれば判断しやすくなります。

表紙カバーのデザインはテンプレートを利用する

表紙デザインは既存のテンプレートを利用すると安くなります。一方「オリジナルのイラストやデザインをつくってほしい」と依頼すると、コストは高くなります。 まずはテンプレートでも満足できるデザインがないか探してみるといいでしょう。

自費出版の費用についての注意点・トラブル事例

「複数の出版社で自費出版にかかる費用を比較するときの注意点」「自費出版の費用を巡るトラブル事例」を紹介します。

費用は同じ条件で比較する

自費出版の料金比較は同じ条件で行いましょう。 公式サイトの料金表では安く見える出版社でも、実は「修正・校正費用を含まない価格」だったり「流通費用が含まれていない価格」だったりするからです。

オプションを追加していくと、予想より高くなることも考えられます。 そのため料金比較にあたっては、料金表だけを参考にするのではなく、同じ条件で複数社から見積もりを出してもらうのがおすすめです。 指定する条件として、以下のような項目を整理しておくとよいでしょう。

  1. 希望する本の仕様(サイズ、カラー/モノクロなど)
  2. 希望するサポート(編集、校正、イラスト、書店流通の有無など)

希望する「仕様」「サポート」に対応できない依頼先は、もちろん候補から外れます。

追加費用の有無を確認する

費用を比較検討する際には、追加費用の有無もチェックしましょう。

出版作業の過程で当初見積もりに料金が追加されるケースもあるからです。 とくに校正・修正費用は認識のズレからトラブルになりやすい項目なので、「校正・修正に費用がかかるか」を確認しておくべきです。 費用体系が明確ではなく、費用について質問したときにきちんと説明してくれない出版社は、費用が格安でも避けた方がよいでしょう。

自費出版本がベストセラー・重版になった例

「自費出版で本をつくっても売れないから、費用は回収できない」と言われることが多いです。

しかし自費出版本には「ベストセラー」「重版」などの成功例もあります。 幻冬舎ルネッサンスから出版された本ですと、『氷の華』がベストセラーとなりました。ドラマ化もされ、著者はプロデビューを果たしています。

また『日給300万円のSS級トレーダーが明かす botterのリアル』も話題になり、刊行後すぐに重版が決定しました。 またベストセラーにはならなくても「自費出版が集客や営業成績アップにつながった」など、自費出版を「成功」と感じている方はたくさんいます。

まとめ

一般的に自費出版には300万円程度の費用がかかります。費用が高く思えても、編集・販促のサポートをトータルで考えると妥当な値段であることも多いものです。

反対に費用を抑えて自費出版できる出版社では「流通が小規模」「編集サポートが手薄」など、お金をかけない分削られてしまう要素があります。

自費出版の費用を考える際には、値段だけに注目するのではなく、「得られるサポート」や「サポートによって期待できる結果」も考慮してください。 なお「サポートはほしいが、少し費用を抑えたい」という場合には、出版社の担当者に「ソフトカバーでもOK」「電子書籍としての出版でもOK」など妥協できるポイントを伝え、相談に乗ってもらうのもよいでしょう。

自費出版を考えている方は、ぜひ幻冬舎ルネッサンスにお問い合わせください。ご希望に合わせて費用を提案いたします。

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