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作家デビューの登竜門!出版社主催コンテスト選考通過のコツとは?

何かを表現したら、やはり何らかの評価を得たいものです。

作家デビュー前の人が、評価の獲得手段としてチャレンジしやすいのは出版社主催のコンテストに応募することでしょう。まずは、出版社主催のコンテストとはどのようなものか、そして、どうして作家デビューにつながるのか理解しておきましょう。

また、せっかく応募したなら、選考を通りたいはずです。そこで、選考に通過するコツ・ポイントもまとめました。コンテストで結果を出したい方は、ぜひ参考にしてください。

出版社主催のコンテストとは?

出版社主催のコンテストは、文字通り出版社が企画・主催するコンテストで、その詳細は各コンテストごとに分かれます。権威ある文学賞もコンテストの一部。大変メジャーな賞をいくつかご紹介します。

オール讀物新人賞

文藝春秋が主催する賞で、募集ページに「原稿用紙50枚からの挑戦!」とあるように、他の賞と比較して枚数の条件が低くなっています。ジャンルはエンターテインメント全般、未発表の短編小説が条件です。400字詰め原稿用紙50枚以上100枚まで。

賞金は50万円。南條範夫・藤沢周平という大物作家を輩出しています。選考を担当するのは安部龍太郎・有栖川有栖・門井慶喜・乃南アサ・村山由佳です。

小説すばる新人賞

集英社の月刊小説誌「小説すばる」が主催する賞です。エンターテインメント小説として面白ければよく、ジャンルは問われません。ただし、未発表で発表予定もないものに限られます。

400字詰め原稿用紙200枚以上500枚まで。賞金は200万円。著名な受賞者は、花村萬月・篠田節子・村上由佳・荻原浩・熊谷達也・朝井リョウなど人気作家が並びます。選考委員も阿刀田高・五木寛之・北方謙三・宮部みゆき・村山由佳とそうそうたる顔ぶれです。

新潮ミステリー大賞

新潮社のこの賞は、未発表であればプロ・アマ問わず応募可能です。400字詰め原稿用紙350枚以上。賞金は300万円で、最終候補に残ると映像化されるチャンスもあります。選考を担当するのは伊坂幸太郎・貴志祐介・道尾秀介という人気作家です。

群像新人文学賞

1946年創刊の歴史ある文芸誌、講談社の「群像」。村上春樹・高橋源一郎を産んだ純文学の権威ある賞です。選考委員も、純文学界の大物文学者の名が並びます。

ここでご紹介した賞は歴史と権威あるものばかりで、簡単に受賞できるものではありません。出版社の中には、「電子書籍化」を賞とし、ジャンル・字数の制限なしの比較的応募しやすいコンテストを行っているところもあります。興味のある方は、そういったコンテストからチャレンジしてみるのもおすすめです。

コンテストの結果がなぜ作家デビューにつながるのか

出版社は販売部数を達成するために、常に新たな才能の発掘をしています。出版社主催のコンテストはこの才能発掘のためで、基本的に受賞作品は書籍となって販売され、作家デビューとなるのです。

ネームバリューのある作家が選考委員だったり、過去に人気作家を輩出したりといった実績のある賞はとても話題になるもの。本屋でも平積み・面陳列など、売れやすい売り場づくりをしてもらえる場合が多くなっています。店頭で「〇〇賞受賞!」「選考委員○○絶賛」といったPOPを見たことのある方も多いでしょう。

コンテスト選考通過のポイントとは?

たくさんの応募があるコンテストで選考を通過するには、いくつかのポイントがあります。このポイントをしっかり押さえておくと、結果につながる可能性は高くなるはずです。

ジャンル選びを間違えない

エンターテインメント小説を募集しているコンテストに純文学で応募するのは、ポップアイドルのオーディションに、歌唱力で勝負したい演歌歌手希望者が応募するようなものです。本気でコンテストで実績を作りたいなら、自分の書きたい小説はどんなジャンルに属し、それにふさわしいコンテストはどんなものがあるのか、まず「マーケティング」から始めましょう。

受賞作の傾向と選考委員の好みを研究

応募してみたい賞がいくつか絞れたら、過去の受賞作品を研究しましょう。分野・テーマなど、賞ごとに何らかの特徴が見えてくるはずです。また、多くの賞では選考委員の選評も公開されています。選考委員各自の好みを知ることは、「コンテストで結果を出す」という観点でとても重要です。

募集要項を守る

少しでも応募規定を間違えてしまうと、「この応募者は応募規定をしっかり読まずに応募している」と判断され、選考に残ることまずないでしょう。

手書きは避けるべき?

現在も手書き原稿の応募OKのところはあります。ただし、選者の視点で見ると読みやすいのは圧倒的にワープロ原稿です。自分の字の読みやすさに自信のない人は、手書きは避けるべきでしょう。

一次選考突破のために冒頭で選者の心をつかむ!

応募する際、応募者は心証を良くするためにも、可能な限り丁寧に応募するものだと思います。一方、選考委員はどうでしょうか。

下読み選者はふるいにかけて落とす

特に選考の早い段階では、選考スタッフは「通す」ためではなく、ふるいにかけて「落とす」ために読み始めます。この「ダメ出し」は小説冒頭で決まると言って良いでしょう。コンテストの多くには「下読み選者」と呼ばれる人が存在し、彼らの一次選考を通ったものが二次選考に上がります。

膨大な量の応募作を読まなければならない下読み選者は、冒頭の1~4枚である程度の判断をし、冒頭で最後まで読むに値するかどうかを決めて選別作業を進めます。

冒頭でのふるい落としは読者目線にかなっている

応募者から見ると、「せっかく応募したのに最後まで読んでもらえないなんてひどい」と感じてしまう方もいるでしょう。でも、ちょっと待ってください。下読みの選考スタッフに「最後まで読んでみたい」と思わせられなかった小説が、一般読者に最後まで読みたいと感じてもらえる可能性はかなり低いでしょう。

小説冒頭で下読み選者のハートをがっちりつかむことは、書籍化されたときに読者の心をつかむことにつながるのです。

自費出版とコンテストの違いを理解しておく

デビュー前の場合、コンテスト受賞の書籍化以外の出版機会は、基本自費出版となります。自費出版とコンテスト選考出版の違いを考察してみましょう。

誰でもデビュー可能か、可能性にかけるか

自費出版であれば、誰でも作家デビューをすることができますが、受賞が前提の場合、選考結果を待つしかありません。

「売れる」目的への温度差

出版社は、負担費用を回収し利益を獲得するため、売り上げ目標を達成する必要があります。そのため、編集者は作家に対して、積極的に構成・表現に関して修正依頼をするものです。

一方、自費出版は原価回収・利益目標という制約がないため、作家の望み通りの作品をそのままの姿で出版することが多いです。しかし、とことん作品の質にこだわる出版社もあるので、自費出版でも良い作品を出したいのならば、出版社選びには要注意です。

自作への客観的な評価

コンテストに応募することで、自分の小説に関して客観的な評価を得ることができます。受賞にいたらなくても、作家活動を続けていきたい方にとって、この客観的な評価は創作活動に何らかの変化をもたらしてくれるでしょう。

自費出版においては、原稿応募した際に「いかに編集者がしっかり見てくれるか」に尽きます。しっかりとした客観的評価をしてくれる出版社選びをする必要があります。

出版に関する第三者評価の違い

受賞によって商業出版した場合、「作家としてデビューした」という客観的な事実が生まれます。コンテストによっては、今後の活動にも大きな影響があるでしょう。

コンテストに応募して自分の作品を評価されよう

コンテスト応募で第三者の評価を得ることは、たとえそれが「落選」であっても、あなたの創作活動に必ず何らかの影響を与えてくれるはずです。ここでご紹介した選考通過のコツを参考に、応募してみてはいかがでしょうか?

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