著者インタビュー

書名のとおり、まだまだ“だちゃかん”なあという心境です。出版はことばのアートだと思います。

老いは、人生の終わりではない。心の旧里へ還る道である。ままならぬ人生を、ままならぬままに生きる――。
「だちゃかん」とは、物事がうまく運ばないことを表す金沢の言葉。著者の父「いっちゃん」は、病弱な幼少期、満州での兵役、戦後の郵政勤務を経て、百二歳の生涯を静かに全うした。
弓道、登山、寺参り、図書館通いを日課とし、百歳を超えても独立自尊を貫いた父。その最晩年の言葉と背中を手掛かりに、老いの寄る辺、生命への畏敬、孤独を生きる勁さ、人間を超えた真実とは何かを問う。ままならぬ人生を受け入れ、感謝とともに生きるための、深い思索に満ちた回想的人生論。

―今回、出版をしようと思ったきっかけを教えてください。

百二歳の父が遺してくれたことばを、何とか形にしたいという思いからです。独立自尊の暮らしを生き抜いて、最期まで“だちゃかん”と言うのかと驚きもありました。でも、そのあとで“あんやと”がこぼれたのです。私には真似のできない生き方を「老いの智慧」として残しておきたいと思ったからです。

―制作中に大変だったのはどんなときですか?

やはり、文章の推敲です。加筆修正が大変でした。一度書いた文章を見直す作業が大変だったです。。執筆の素人が出版するわけですから、思点の変更が勉強になりました。

―制作中に大変だったことをどのように乗り越えましたか?

編集担当さんからの適切なアドバイスで乗り越えられました。編集担当さんが、文例を提示してくださり、それを基に自分の文章で書き直すという作業で救われました。

―書籍に込めた思いを教えてください。

齢を取ることは、ただ老い廃れるだけでなく、歳を取ってみなければわからない創造的真化が存在することを伝えたいという思いです。世間の「老化=劣化」という常識に腑に落ちず、時間が経つことでしか辿り着けない真実の姿へ向かい、本物の価値が引き出されていくプロセスを『経年真化』と名付けました。

―これから出版を考えている人へのメッセージをお願いします。

自費出版は「民筆」です。文才がなくても、人にはその人にしかない物語があります。それを、文学でも文芸でもない自分だけの「ことばのアート」として表現してみてはいかがでしょうか。ことばさえあれば道具は要りません。客観は求めず、主観的な自分の物語をどう紡ぐかを考えるだけでいいのです。個人史でもよし、随筆でもよし、詩歌でもよし、後はその人、その人次第です。


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