著者インタビュー

旅先の書店で自分の本が平積みにされているのを発見した時、鳥肌が立つほど感動しました。子供の頃から見ていた夢が、遂に実現したのだと実感した瞬間でした。

店を畳むか迷う店主・亮介の写真館に、客の依頼が次々と舞い込む。
毎年遺影を撮る老人、旅先の記念写真、失われた家族写真の原板探し――
亮介は要望に応えるうち、ここが“人生の節目”を受け止める場所だと気づいていく。

 

第40回日大文芸賞 優秀賞受賞作「桜が咲くころ」を含む全3篇を収録した珠玉の短編集

 

雨煙る夜に――疎遠だった父の知らせ。救急外来の待合で、知らなかった父の思いが語られる。家族とは何かを問う一夜の物語。
桜が咲くころ――病床の妻へ、移りゆく季節の写真を送り続ける夫。老いてもなお互いを気遣い、絆を深めあう夫婦。約束の桜がつなぐ、ふたりの物語。

―今回、出版をしようと思ったきっかけを教えてください。

小説家になる夢をずっと抱いていましたが、仕事に追われ中々書くことが出来ませんでした。定年を迎え、少し時間的なゆとりが出来たことから、チャレンジしてみようと小説を書き始めました。そして自分で書いた小説を誰かに読んでもらいたい。そんな気持ちから本を出すことにしました。

―制作を始める前、どんな不安がありましたか?

自分が書いた小説のレベルが分から無いのが一番の不安でした。色々な本を読んで、自分なりに評論をしたりして勉強してきましたが、自分の書いた作品は客観的に見ることが出来ず、粗ばかりが目に付く有様でした。果たしてこれが本になるのだろうかと不安でいっぱいでした。

―制作の過程で不安を解消できましたか?

制作が開始となり、最初に編集者の方から編集提案を頂きました。バッサリ切り落とされたり大幅な修正提案などを頂きました。その時のショックは大きかったですが、提案された内容で読み直してみると納得のいくものでした。そうして修正していくうちに、自分で書いた作品に対する不安が少しずつ解消していきました。

―制作を進めるなかで印象的だったことを教えてください。

編集者の方が、自分の作品に真剣に取り組んでくださり、一生懸命良くするためのアドバイスを頂いたことが印象的でした。普段小説を書いても、家族に読ませて感想を聞くくらいなのですが、他人がここまで自分の作品に向き合っていただいたことに感謝しています。

―読者へのメッセージをお願いします。

人の人生をテーマに仕上げたつもりです。奇をてらったり、派手なアクションがあったりはしませんが、市井の人に焦点をあてて日常の出来事を丁寧に聴きあげたつもりです。これを読んで少しでも暖かい気持ちになっていただければ本望です。


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