出版実績

後れてもまた

愛する者を愛し返す力があったらよかったのに――。

ジャンル
単行本 文学・評論
シリーズ
その他
著者
・著
ISBN
9784779008665
判型
4-6 ・ 264ページ
出版年月日

内容紹介

1950年代、東京。そこには私たちが失ってしまった愛の姿があった。勤務先で知り合った岡本と結婚した立枝は、夫の友人である中原と出会う。結婚生活にほころびが生じ、中原への想いを抑えきれなくなった立枝は、数年の別居を経て岡本と別れる。自由の身になった立枝は中原と結ばれるが、一度きりの関係のまま、再び二人の距離は遠ざかってしまう。6年後、別れた岡本から突然手紙が届いた。そこには一番あってはならないことが書かれていた。頭に浮かぶのは、「後れても後れてもまた君たちに誓ひしことを我忘れめや」の歌。幕末の志士、高杉晋作の詠んだ歌だ。学生時代の自分や戦争、出会い行き違ってきた人たちが心のずっと奥のほうを駆け巡る。寂しさと悲しみを自分の胸にしまうように、立枝は記憶をそっと箱の中に戻した……。

■著者紹介
昭和3年、福井県生まれ。現在は埼玉県和光市在住。

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