出版実績

地平線に

戦争によって青春を犠牲にされた青年少尉の慟哭の物語。

ジャンル
単行本 文学・評論
シリーズ
増刷
著者
ISBN
9784779001758
判型
4-6 ・ 608ページ
出版年月日

内容紹介

本作品は、実父の戦争体験を綴った自伝をベースに、息子である著者が小説化したものである。徹底した軍国主義体制の下、徴兵され中国に渡った主人公・杉井謙一が、国家が軍事力や武力を利用して戦闘を組織的に遂行するという、極めて常軌を逸した事態を果敢に生き抜き、敗戦を機に帰国するまでの8年間を綴っている。20歳の時に徴兵された杉井謙一は、予備士官学校で過酷な軍事訓練を受けたのち、戦地・中国に赴く。文脈の端々には、青年謙一の穢れない純真に照らし出された国家権力の不条理に対する憤り、戦争という暴力しか存在しない極限状況での人間の愚かな言動の数々、人間の命を軽々しく扱う場面に数多く立ち合わざるを得なかった無力なる者の困惑、そして軍隊という野蛮極まりない組織などが赤裸々に綴り出され、謙一のやり場のない怒りや悲しみが読者に共感を持って伝わってくる。また、主人公・謙一の幼なじみとして登場する谷川佐知子との交流風景の挿話は、本作品において非常に心和ませられるアクセントとなっている。時代の運命の悪戯は「セピア色の趣」が漂い、淡いノスタルジーを感じさせる若い二人の純愛は結ばれることなく、戦争は謙一から佐知子を奪ってしまう非情さを突きつける。愛する女性を奪われた謙一の無念さと憤りを描いたラストシーンは、読者を深い悲しみに包む。

1954年静岡県静岡市生まれ。1977年東京大学法学部卒、同年運輸省入省。2005年より国土交通省大臣官房審議官。この間、1981年から1983年まで米国コーネル大学経営学大学院留学、1992年から1995年まで在米国日本大使館勤務を経験した。入省以来運輸各般の業務に従事し、中国関係では、鉄道技術協力、日中航空協議を担当した。同省が訪日外国人倍増を目標とするヴィジットジャパンキャンペーンを推進していることから、最近は中国人観光客の誘致にも気を配っている。

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