五十歳を迎えた大道寺は仕事で出張した韓国・釜山でひとりの若い女性・美里と知り合う。結婚して家庭に入ることが女の幸せと言う思潮が常識のお国柄、婚期を逸した女性が社会に出て自立していこうと願ってもなかなかその夢が果たせない。大道寺は過去日韓の間に横たわる不幸な歴史を考え、この国の若者達に日本人として何らかの援助の手を差し伸べるのが、過去の歴史の贖罪にもなると考え、美里が自活する道に手を差し伸べる。やがて二人は年の差を越えて恋に陥る。自分「ひとり」の存在をみつめ、これからの人生を自分らしく生きたいと願う大道寺は、家族、会社、友人とのしがらみを捨て、美里との純粋な愛に生きようと決意する。二つの国にまたがる恩讐を超えて愛に生きるひとりの初老の男大道寺の、｢自分｣を見つめた新たな生き様の物語。