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祖母と田舎暮らし。少年の人生を変えたのは、たったひとりの韓国人兵士だった。
第一章 新しい家族
第二章 新世界へ
第三章 もう一つの国
第四章 若き兵士
第五章 決断
第六章 愛しき日々
1946年、島根県益⽥市。
異国の海⾵に誘われるように⽇本に降り⽴った元兵⼠の韓国⼈・郭昌宇。
⾒知らぬ⼟地で出会ったのは、目の不自由な老婆“キク”と、⾔葉を知らぬあどけない少年“武”だった。
そんな彼らを⾒かねた郭は、帰国の準備を兼ねて二年半の時間を共にする。
郭の世話のかいあって、キクの目は治り、武も言葉が話せるようになっていった。
そして郭は、いつしか本当の父子のような関係になっていた武を残して、祖国へ帰っていく。
朝鮮半島では南北の対立が激化、戦争の足音がすぐそばまで迫っていた。
武は⾃分を助けてくれた“郭父さん”を求め、故郷を、そして⽇本を⾶び出していく。
国を出て朝鮮半島に駆け付けた武が⾒つけたものとは――。
■著者紹介
丹波 燐(たんばりん)
1979(昭和54)年、島根県立益田高等学校卒業。
幼い頃に古里の砂浜にハングル文字の物体を確認することしばし。
その物体に遠く異国の匂いを感じ取り、沖に向かって大声をあげる衝動に駆られたことを思い出します。