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「宇宙を変える世紀の発見」をめぐり、数多の「思惑」と「陰謀」が暗躍する。
第一部
プロローグ
第一章 カンタレラ! カンタレラ! 一九一九年六月 ベオグラード
第二章 手錠、運送屋、そしてアメリカの漫画 一九〇九年/一九一九年 ベオグラード
第三章 セルビア初紳士クラブ 一九一九年 ベオグラード
第四章 タイタニヤ号 一九一五年二月 イストリア半島
第五章 空っぽな人たち、終わった人たち 一九一五年 アドリア海、インド洋、南シナ海
第二部
第六章 彼の名が刻まれた弾丸 一九一九年六月 ベオグラード
第七章 十年後、四年後 一九一九年六月 ベオグラード
第八章 常春の拳 香港 一九一五~一九一六年
マックス・プランクの偶然の発見――全宇宙の運命を変えるかも知れない発見――を説明できるのは、ニコラ・テスラだけだ。
一九一九年にプランクは、テスラと共にこの発見の核心に迫るためにベオグラードにやって来た。
バチカンが送り込んだ暗殺者、強大な力を持つ闇組織、極東から来た極道……といった連中が、プランクをテスラと会う前に暗殺しようと狙っていた。
セルビアの秘密警察の長、アピス大佐はあらゆる手段を講じてプランクの生命を守る。国家の名誉が、現代科学全体の将来がかかっている。
危険を取り除き、プランク・テスラ会談を断固として実現させることができるのは、美しき女スパイ、アンカ・ツキチだけである。
「ゴラン・スクローボニャ氏は、セルビア文学界においては、押しも押されもせぬ「大御所」であり、同国内では、村上龍氏の『昭和歌謡大全集』を翻訳し、広く知らしめた。
しかしながら、スクローボニャ氏の最大の武器である、そのずば抜けた筆力と構想力は、残念ながら、日本ではまだ知られていなかった。――今日、本作が出版される以前には」
(訳者・夏井徹明氏)
■著者紹介
【原著者】
ゴラン・スクローボニャ(Goran Skrobonja)
1962 年ベオグラード(当時は旧ユーゴスラビア)生まれ。ベオグラード法科大学卒業。1987 年、「天からの贈り物」でデビュー以来、現代セルビア文学におけるホラー、SF のジャンルの旗手として活躍している。「テスラを殺した男」(2010)の姉妹作として2013 年に「私たちはみんなテスラの子供」を上梓。10 作を超える作品が英訳されて国外で紹介されている。2015 年には、村上龍「昭和歌謡大全集」を英語版から翻訳してセルビア語版(題名:Karaoke Strave)を出版した。
【訳者】
夏井 徹明(なつい てつあき)
1958年岩手県一関市生まれ。東京大学工学部卒業、工学修士(金属材料学)。メーカー(R&D)、証券系シンクタンク、メーカー(海外業務)を経て、定年退職後、研究執筆に専念。朝日カルチャーセンターでチェコ語、ポーランド語、セルビア語、アルメニア語、アイスランド語、フランス詩学を学ぶ。千野栄一氏、小原雅俊氏の指導を受け、スラブ語の文章解釈をライフワークにしていて、2014年のベオグラード初訪問以降は、セルビアの文学、歴史、文化、言語の研究に力を入れている。神奈川県川崎市在住。
髙橋 ブランカ(たかはし ぶらんか)
小説家、翻訳家、写真家。1970年旧ユーゴスラビア生まれ。ベオグラード大学日本語学科卒業。1995年来日。1998年日本に帰化。1998年~ 2009年、夫の勤務で在外生活(ベラルーシ、ドイツ、ロシア)。2009年から東京在住。著書:「最初の37」(ロシアで出版)、「月の物語」(セルビアで出版、クラーリェヴォ作家クラブ賞受賞)、「東京まで、セルビア」(未知谷)、「クリミア発女性専用寝台列車」(未知谷)