執筆中は体調を崩さないように、常に気を張っていたような気がします。道を歩いていても周りをよく見て、事故に遭わないようにしようとか(笑)
名探偵・明智小五郎の助手、小林芳雄をめぐり、ひとりの少年が「別人」へと作り替えられていく。楽園のような温室に隠されたのは、不老の力を秘める謎の植物。その争奪戦の裏で、偽物と本物、罪と救済、記憶と肉体の境界が静かに崩れていく。二十面相の山荘に雇われた女中・笙子、そして明智の助手・マユミ——ふたりの女性の視線が交差するとき、少年の孤独な来し方と、人間の業の深さが露わになる。江戸川乱歩の「少年探偵団」世界を下敷きに、妖しくも哀切な視点で描く外伝ミステリ。
幻冬舎ルネッサンス運営のWebメディア「ゴールドライフオンライン」にて連載中。
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自分の中で、紡いできた物語を、他の人と共有したいという思いはずっとありました。祖父も句集を自費出版で出しており、出版は「自分の生きた証を遺すこと」だと実感していたのです。退職後にと考えていましたが、その頃元気かはわからない。やりたいことがはっきりしているなら先延ばしにするのはやめようと出版を決めました。
―制作を始める前、どんな不安がありましたか?初めに編集者の方に、小説サイトに投稿していた原稿を読んで頂いた際に、改稿のポイントをいくつか具体的に伝えて頂いていたので、制作前の不安はあまりありませんでした。
ただ仕事が忙しい時期だったので、書く時間を確保できるのか、締め切りに間に合うのかが心配でした。
仕事に手は抜けませんが、家事には手を抜きました(笑)書くのは休日の早朝と夜、書いたものを通勤電車や移動中に読み返して、赤ペンでチェックしたのを次の休みの日にまとめて訂正するなどして、少しずつ仕上げていきました。ペースが掴めてくると、不安は徐々に解消されました。
―制作中によかったと思えたのはどんなことですか?編集者の方から改稿のポイントを伝えられたときは、目から鱗が落ちる思いでした。いかに自分がひとりよがりに書いていたかを突きつけられた感じです。「伝わる文章」を考えていたつもりでしたが、それからはさらに他人の視点を意識するようになりました。果たして上達しているのか、まだまだ修行の途中です。
―書籍に込めた思いを教えてください。あくまで、エンターテイメント小説として書いた作品なので、深いテーマ性があるわけではありません。ただ、「物事は見る角度で何通りも変化する。人間もそうで、一人の人間の中に光も闇も同時に存在する」みたいな思いは書きながら常にありました。この人生観や人間観は、の場合、幼い頃から親しんできた乱歩作品を通して得たようか気がします。
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