表現者の肖像 kawakami
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座右の一冊

陰影礼讚

谷崎潤一郎
泥流地帯

ここが魅力 高校生の頃に、国語の教科書にありました。高校時代というのは、かわいいものを好み、どちらかというと、軽い傾向あります。でも、陰翳礼讚に描かれた日本の様式美、陰でさえも取り入れ、そこに美意識を見出だすということに感銘を受けました。高校生のころの自分は京都に修学で行っても、なぜお寺巡りなのか、お茶室やお庭から何を学べというのとかさっぱりわからなかったので、この陰翳礼讚を読んで、やっと府に落ちたことを覚えています。今は主婦となり、家のことを全てに任されてますが、私の中にあるものは、陰翳礼讚です。
陰翳礼讚の著者、谷崎潤一郎氏は、色で言えば、赤や緋色やピンクなど、本当に意味での色々を経験をしているからこそ、陰翳を礼讚できる、陰翳を感じられる人であったんだろうなと思いました。私は、そこまでの経験をしているわけではありませんし、そこまで経験したいとも思ってはおりませんが、でも、日本人としての感性だけは、心の中で、磨いておきたいものです。

幻冬舎ルネッサンス

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