表現者の肖像 波田野裕基
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執筆に秘めた思い

説のような物語は自分たちが何かに迷った時や生きていくうえでの判断のヒントになるものです。古代からつい最近の時代までは、その集団ごとの長のような人がみんなにたとえ話として、話して聞かせる習慣が必ずといっていいほどありました。今はそれがテレビのドラマだったりゲームになっていると感じます。しかし、その長が話して聞かせる物語は長自身が考えたものではなく、代々一族に伝わってきた物語であり、数百年、数千年という長い期間に工夫され熟成した一族の知恵の比喩だと思います。

時代が進んで特に先進国ほどテレビすら時間がなくて見れない、ゲームはやらないといった、何かに追われる生活になっています。そして、それは今後も全世界的にテクノロジーと共に広がっていく勢いです。本当にかつてはなかった時代になりつつあり、過去の神話の力が無効になっています。

そのような状況で、今という時にあてはまる話のひとつとしてノンフィクションを選びました。私自身、執筆活動に入る直前まで毎日売り上げを気にしながら休みもあまりない、特別に大儲けしているでもない、ただのサラリーマンでした。

今という時に合うように極限までシンプルを心がけました。字も少なくなるようにしました。上記のような事も考えつつも、読者は何も考えずにさらっと読めるよう心掛けました。チベットからカイラス山の様子も美しい写真のみで伝わるように考えました。 時間に追われる生活の中でも、少しでもこの本によって落ち着けて、何かに気づいて、美しいイメージを膨らませられたら幸せです。

また幸運な事に、もし、エベレストやカイラス山にじかに行く条件が揃っているのなら、ぜひとも行動を起こしましょう。

人は普遍的なものをつまらなく感じるものですが、この本はいろいろな気づきのある普遍性に手が届くことを目指しました。

幻冬舎ルネッサンス

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