表現者の肖像 山田博愛
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執筆に秘めた思い

世代の輝かしい日本を形作っていくのは、原発ですか? 軍備増強ですか? もちろんそんなはずはありません。当然科学や技術の間断なき進歩は不可欠ですが、バーチャルな世界への過度な依存、行きすぎた資本主義に対しては、今が見直しをしていく好機なのではないでしょうか。

日本には四季を通して豊かな自然が溢れています。しかし、その自然は100%コントロールできるものではないことを、東日本大震災で改めて思い知らされたはずです。我々が目指すものは、自ずと眼前に浮き彫りにされているはずです。「豊かな自然を科学が補完していく社会」、この自明の理を今一度提示すべく、地方に住むものの責務として、その嬉々とした日常を紹介することにより、問題を提起したいと考えました。

日本の中山間地域の幸福論が世界を変える

移ろいゆく自然に囲まれ、ささやかではあるが確かな幸せを感じつつ、ネット社会特有の便利さを享受しながら生活していると、ここが世界の中心なのではないかと錯覚するような妙な感覚に襲われることがあります。自然を征服の対象とせず、共存すべき伴侶として遇してきた、脈々と続いてきた日本人の生き方の結晶が、我々中山間地域の風景なのではないかと思います。今、世界は多神教的な、様々な思想を許容し得る、柔軟で豊かな精神性を求めているのではないでしょうか。

そのことが種々の紛争を永続的に解決していく鍵になるような気がします。日本人的な節度ある地方での生活が、行き詰まりかけている経済至上主義に示唆するものは少なくはないのではないかと考えます。

幻冬舎ルネッサンス

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