表現者の肖像 山田博愛
HOME > 山田博愛 > インタビュー

表現者インタビュー

動機は始まりの1点であり、それが不毛であるが故に、現在を全力で生きていかなければならない

ご執筆を終えられてのお気持ちは?

本業やその他の活動をする中で執筆したこの作品は我が子のようであり、我が子が世に受け入れられ、社会に資するような存在になってくれることを今は願うばかりです。ブログに加筆する形態のエッセイではありますが、自らの思想を整理し体系化できたことに、一義的な意義を感じています。

執筆自体にあまり大変さは感じませんでしたが、強いて言えば一般診療・救急・各種書類作成、その他医師会理事の仕事やボランティア活動、 そしてこれは趣味ですがジョギング・バスケ・ゴルフ・ジムや絵画制作の合間をぬっての執筆となると、夜12時以降となることがほとんどで、その点が大変でした。

出版したことで前述の通り、自らの思想を整理し体系化でき、若く活きのいい編集者の皆さんと巡り合うことができました。また読者という新たな理解者あるいは友人を得ることもできました。本を目にして当クリニックを受診される方もあるようです。つまらぬことかとは思いますが、名声を得、箔がついたような気がします。そのことにより、日々の生活・仕事に心のゆとりが生じ、適度の緊張感が生まれたように感じています。

医師として生きていくことをどのようにお考えですか?

私が医師になったのには父が大いに影響しています。父は自身が医師になれなかった悔しさを全て私に託しました。医学部に入れるためには手段は選ばず、私への暴力も当然のことと考え私を育てました。医師になるためのレールは物心がつく前から敷かれていて、動機については語るべきものを全く持ち合わせていません。しかし今はそれで良しとしています。動機は始まりの1点であり、それが不毛であるが故に、現在を全力で生きていかなければ……という強い危機感を持っています。

医師の仕事は、マイナス(病気)をゼロ(健康)にする仕事であると考えています。そのためには、当たり前のことを、機を逸することなく当たり前に行なっていく機動力と準備が必要です。今後も本来的なGeneral Practitioner(総合診療医)として、幅広く(内科・循環器科・消化器科・外科・整形外科・小児科・耳鼻科・精神科など)、高度な診療を継続していけるよう、弛まぬ知識の刷新と技術の向上、さらには積極的な設備投資などに、引き続き努めていくつもりです。一方医療でプラス(積極的な幸福の創造)の領域に立ち入ることは原理的に不可能であるため、医師たるもの医療以外の分野で社会に貢献していくことが必須であると私は考えています。

山田先生個人としてはどのような目標がおありですか?

私個人としてはやれることは極力自分でやることを旨としています。例えば、剪定・芝刈り・ペンキ塗りなど広大な敷地の整備。さらには料理・洗濯など家事一般も時には妻に代わってこなしています。趣味と実用を兼ねた、畑作り・釣りなども続けていきたいですね。これが私の考える広義のGeneral Practitionerとしてのあり方です。 そして特に力を入れていきたいと思っているのが我が町「七宗町」及び地域復興のための活動です。過去には、お笑いコンテストを企画し、200名のホールを一杯にしたり、お寺でのジャズコンサートや、自主映画の上映会を、地元の仲間とともに開催してきました。

今後もこうしたボランティア活動に尽力していくとともに、もう一歩踏み込んだ、持続可能で創造的な地方発展のためのプラットホーム造りに、積極的に取り組んでいくつもりです。

幻冬舎ルネッサンス

© 2017 GENTOSHA RENAISSANCE SHINSHA,inc.