WEB小説コンテスト「イチオシ!」

エントリーナンバー2さみしさ鬼

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著者名:天野 秀作

 どこかで鼻をすする音がした。ふと横を見ると、母がいた。枕元に座って、僕を見ていた。そして母の瞳は涙に濡れていた。僕を見ながら泣いていたようだ。

「お母ちゃん」

「ごめん、起こしてしもたね」

「どないしたん?」

「ううん、何でもない。ちょっと坊の顔見たくなっただけや。心配せんと寝ぇ」

「うんわかった」

 僕は再び眠りに落ちた。するとまたコロちゃんが僕の傍にやって来て僕に話しかけた。

「ご主人、お母様には会えましたか?」

「うん。でもな、お母ちゃん、泣いてた」

「それでご主人はどう思いましたか?」

「え、どおって……」

「悲しいと思いましたか?」

「うん、ちょっと悲しかったけど……」

「けど?」

「でも、僕がお母ちゃん、鬼から守ったるねんて思った」

「やっつけましたね」

「え?」

「淋しさ鬼」