表現者の肖像 沢村のぞみ
HOME > 沢村のぞみ > 作品にこめた思い

作品にこめた思い

「恋をするのは夢を見ること」
官能小説家・沢村のぞみ、最新作『甘い鎖』を語る

今回の新作、
『甘い鎖』という作品について
教えてください

甘い鎖の主人公、平山ゆかりと、人間的に欠落しているマザコン気質、天才的なシステムエンジニア六橋和也の甘く切ない官能物語になります。和也は幼くして母親を亡くし、愛されず育ちました。六橋家にはエンジニアの才能のみを利用され、周りに心を開けない、暗い性格の男の子です。そんなある時、恋愛経験が極めて少ないゆかりと出会いはじめて、屈託のない、笑顔を振る舞えるようになります。ゆかりは、「和也の笑顔を守りたい」と決意しある行動に出ます……。

「和也は好きな人がモデルです(笑)」

パパと彼氏との3Pを描いた前作(『甘い伽』)とは
かなりテーマが変わっていますが、
今作の執筆のきっかけはなんだったのでしょうか?

去年付き合っていた年下の男性をモチーフに書いていた人妻ブログを、小説化してみようと思ったことがきっかけです! 最近の社会では、良くも悪くも不倫ブームが起きているのを感じています。そんな中で、「人妻」というキーワードが、どこまで影響をもたらすのか興味を持ち、試してみたくもなりました。

執筆する中で、
とくにこだわったところはなんですか?

登場人物の心理描写です。その中でも挙げるとしたら、生真面目で自分の意思ではなかなか決められないゆかりが、和也のためにそそぐ無償の愛です。自分と重なるところがあるのでかなり気合を入れて書きました。

それと和也の人物像は、ストレートに、私の好きな人をイメージしました。なので、そこかな。

マザコン気質、甘えん坊、だけど憎めない、マイペース、喜怒哀楽を素直に表現、色白で黒髪、ふわっとした唇、細くて綺麗な指先、少食、周囲に心が開けないなどなど……。

イラストまで本人にそっくりなんです(笑)。和也も超美形ですが、実物もかなり……です……。最近、六橋和也という官能小説のなかの人物に愛着がわいています。

「とくにここを読んでほしい」
というポイントがあったら、教えてください

不器用でなかなか周りに心が開けず、ぶっきらぼうでストレートすぎる愛情表現しか出来ない和也の生い立ちや、心情。御曹司でイケメンと言う、一見勝ち組路線を歩むはずの誠が抱えているイジメられた過去のトラウマ……。

それぞれの思いから生まれるドラマをご覧いただけたらと思います。

本格的に和也がシステム会社を辞め、ゆかりと逃げ、落ちていく二人の生活と、その時それぞれが必死に守りたかったものについて汲み取っていただきたいです。クライマックスのシーンは、それぞれの描写に特に心理面を強調させています。

「読者の方々がときめき、
夢や希望を抱ける作品になれたら……」

ぶっちゃけ、和也と誠、どちらが好みですか?
また、それはなぜですか?

うーん!どちらですかね?どちらも良し悪しがあると思いますが、友達として付き合いたいなら誠、恋人や旦那さんにするなら和也ですかね。これは好みの問題になってしまいますが、人として付き合いやすい、社交的な誠より、人間的にも心配になってしまう和也のほうが、母性本能が働いてしまいます……。

読者のみなさんへメッセージをお願いします

恋をすることは夢を見ることと似ています。そして、「付き合う」という行為は相手があってはじめてできることです。

読者の皆さんにとって『甘い鎖』が、憧れの恋人を旦那さんとして独り占めできる。そんな、ときめき、夢や希望を抱ける作品になれましたらうれしく思います!

幻冬舎ルネッサンス

© 2017 GENTOSHA RENAISSANCE SHINSHA,inc.