第3回小説コンテスト

大賞作品電子書籍化、単行本発売予定

大賞

『金の顔』

菊野啓:著

【大賞作品 幻冬舎より電子書籍化、単行本発売予定】

■あらすじ
 舞台は昭和40年代の農村。貧乏農家で育った「私」は、様々な体験によって人生観を形成していく。身近な動物の死。金を嫌悪する祖父の言葉。女生徒アユミとの交友……。
 夏休みのある日、壮絶な夫婦喧嘩をきっかけとして、「私」は母に手を引かれて親戚の家へ転がり込んだ。老舗旅館を経営する叔母一家の裕福な生活を目の当たりにして、「私」は医者になることを宣言する――。死、金、性。人間の営みを真正面から描いた純文学作品。

大賞作品『金の顔』
編集者講評

山名 克弥

貧しい家庭で育った「私」を主人公とした一人称小説だ。敬体を使いこなした地の文の語り口が著者の表現力の高さを窺わせる。情景描写、会話文ともに質が高く、人間の生活を舐めるように描いている。子どもながらに金に執着する「私」。
また、そうした環境において当然のことのように起こる暴力や万引き。両親が交わる現場を見た「私」の心傷は壮絶なものだったろう。大人になってから認知症の母を大切に思い介護する結末には、単純な家族愛の物語としては括れない複雑な余韻を残す。
作中の経過時間については、細かな整理を行なうと、なおよいだろう。
後半では大人となった「私」が登場するが、空白の期間が大きく、唐突に感じる読者もいるかもしれない。
ただ、応募作品の中で抜きん出た完成度を誇っていることは確かだ。町田康『きれぎれ』や吉村萬壱『ハリガネムシ』の系譜に並べても不自然ではないだろう。

幻冬舎ルネッサンス新社 代表
山名 克弥

審査員

山名 山名 克弥(やまな かつや) 株式会社幻冬舎ルネッサンス新社 代表取締役社長。「プロの読者目線」を信念に、
1ヶ月に5~10冊の書籍刊行に携わる。かつては企画営業部に在籍した経験から、書店への流通・販売戦略の立案や、プロモーション戦略面についても熟知し、制作面に拘わらずそれぞれの著者に最適な出版戦略の企画立案を得意とする。趣味は食べ歩き。
下平 下平 駿也(しもだいら としや) 幻冬舎ルネッサンス新社編集部マネージャー。書籍の企画立案はもちろん、出版後の販促やイベントにまで携わることで独自の“売れるノウハウ”を構築。それを余すことなく著者に伝え、売上に妥協しない徹底的な姿勢から、強力な販促アドバイザーとして評価されている。かつてはビジネス書の販促企画チームに所属しており、企業の代表など権威ある著者からの信頼も厚い。猫好き。
坂本 坂本 洋介(さかもと ようすけ) 株式会社幻冬舎デザインプロ 代表取締役社長。フレグランスメーカーや広告業界にてアートディレクター・デザイナー職を経た後、書籍特有の信頼性に興味を持ち、幻冬舎メディアコンサルティングへ入社。「人の心を動かすデザイン」を信念に、書籍をはじめ、広告やWEB、プロダクトなど、幅広い領域のデザインを手がける。

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