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新書の自費出版講座/新書向けの本文の書き方

新書の本文を読んでいるとき、どのような印象を持ちますか?

形が小さく文字も細かい新書。ただでさえ読みにくい形体ですが、そのターゲットはタイムリーな話題をすぐに知りたい人です。そのため、パラパラとめくってほしい情報がすぐ手に入るような、簡潔で分かりやすい本文でなくてはなりません。

今回は、どうしたら新書向けの本文が書けるのか、そのポイントをお伝えしていきます。

新書の書き方ポイント(1) 「結論」を最初に書く!

新書の本文作成で最も重要なのは、「結論」を最初に書くことです。新書には他の書籍にあるような、高揚感をもたせるための前置きや、話の雰囲気を感じさせるための表現などは必要ありません。ターゲットが望んでいる、タイムリーな情報が欲しいというニーズを満たすことが最優先です。

そのため、結論→事例を用いた説明→著者の主張・考え といった風に、最初にその章の結論が分かり、読み進めるにつれて詳細が明らかになっていき、最後に著者の考えを伝えるような流れが理想的でしょう。なお、最後の著者の考えは最初の結論とリンクしている必要があるため、章全体に一貫性が感じられるように注意してまとめましょう。

新書の書き方ポイント(2) ひとつひとつの章や節は短めに

本文を簡潔にまとめるためには、章や節の数を少なく、短めに編集しましょう。

実際に、紀伊國屋書店『ベストセラー』新書マンスリーデータを参考にしてみると、以下のような構成になっています。

曽野 綾子・著『人間の分際』
第1章 人間には「分際」がある
第2章 人生のほんとうの意味は苦しみの中にある
第3章 人間関係の基本はぎくしゃくしたものである
第4章 大事なのは「見捨てない」ということ
第5章 幸せは凡庸の中にある
第6章 一度きりの人生をおもしろく生きる
第7章 老年ほど勇気を必要とする時はない

下重 暁子・著『家族という病』
序章 ほんとうはみな家族のことを知らない
 (家族とは何なのか;なぜ私は家族を避けてきたのか)
第1章 家族は、むずかしい
 (家族を盲信する日本人;なぜ事件は家族の間で起きるのか ほか)
第2章 家族という病
 (家族のことしか話題がない人はつまらない;家族の話はしょせん自慢か愚痴 ほか)
第3章 家族を知る
 (介護で親子は互いを理解する;親は要介護になってはじめて弱い姿をわが子に見せられる ほか)
第4章 旅立った家族に手紙を書くということ
 (家族を知ることは自分を知ること;父への手紙―冬の雷 ほか)

鍋田 恭孝・著『子どものまま中年化する若者たち―根拠なき万能感とあきらめの心理』
第1章 いま若い世代に起きていること
 (もはや動物でなくなりつつある―学童期の子どもたちの変化;あきらめ、流されて生きる―思春期の若者たちの変化 ほか)
第2章 精神科臨床30年の現場から
 (思春期・青年期の心の病の変容;古典的な対人恐怖症から「ふれあい恐怖」「承認不安」へ ほか)
第3章 悩めない、語れない若者たち
 (すべてにおいてエネルギーが低下―元気のない若者たち;反射的・断片的なコミュニケーション ほか)
第4章 「青春」がなくなった人と世界
 (世の中から失われたもの;新たに、我々の環境に溢れてきたもの)
第5章 日本人はこのまま衰退するのか

これらを参考にしてみると、新書の章の数は10以内、章の中身についても、2~3節でまとまっているようです。従って、本文を書き始める前にこれらのように章と節を書き出し、数が増えてしまう場合は書き始める前に削っておきましょう。

新書の書き方ポイント(3) 最新の情報を含める

タイムリーな出来事についてまとめる場合、原稿執筆中にも関わらず、常に新しいニュースは入ってきます。何度も修正するのは難しいですが、これを盛り込むことで、読者からは最新の話題に精通した新書、という評価を得ることが出来ます。著者自身の知名度などに関わらず注目を集めることができるため、最新情報は積極的に取り入れていきましょう。
ただし、信憑性が定かではないもの、マスコミが一方的に盛り上がっている情報などの主観的なものは避け、信頼できる出典元が提供している客観的な情報を使用すべきです。

新書の書き方ポイント(4) わかりやすい言葉や表現方法を使う

結論から文章を書きを短くまとめたとしても、詳細説明が分かりにくければ、途中で読むのをやめられてしまう可能性があります。その対策として必要なのが、分かりやすい言葉・表現方法を使うこと。特に専門的な分野についてまとめた新書は、つい専門用語を多用したり、自分中心に話しを進めてしまいがちです。
そのため、一般的に共通認識がある言葉、誰もが知っている著名な物事などを事例として使用すると、分かりやすい表現が出来ます。

以上が新書の書き方のポイントになりますが、これらはごく一部ですので、ぜひいろいろな新書を手にとって調べてみてください。

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