裏切られてもなお キリスト教があなたへ贈る喜びのエッセイ

No,045

浦川 愼二

NO.45 浦川 愼二

作品紹介

NO.45 浦川 愼二

裏切られてもなお キリスト教があなたへ贈る喜びのエッセイ

浦川 愼二

聖書は何を訴えているのか―聖書に秘められたキリストの思いを掘り起こす―キリスト教の新しい捉え方を日々のエッセイで綴った48の物語

プロフィール

NO.45 浦川 愼二

浦川 愼二

1970年、東京都調布市生まれ。
1993年、日本キリスト教団で洗礼を受ける。
1994年、法政大学法学部卒業。
1995年、横浜市役所に入庁。
1996年、日本聖公会で堅信を受ける。
2001年、横浜市役所を退職し、日本聖公会京都教区ウイリアムス神学館に入学。
2003年、双極性気分障害(躁うつ病)と診断され同校を休学、後に中退。現在は、日本聖公会横浜教区福田聖公会に籍を置く
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

座右の銘

すべてのものに敬意を払う
 まず、訂正があります。文庫改訂版の121ページに「私は2001年前半に『双極性気分障がい(躁うつ病)』という診断名が判明しました」と記入していますが「2001年」は「2003年」の誤りです。また「気分障がい」という表現については、むしろ「気分障害」という表現に変えるようになりました。なぜなら「障害」という言葉には、「目障りで邪魔者」という語感があり、このような偏見や差別と闘っていくことが、私に与えられた課題であると考えるからです。

 人間も動物も植物も、死ぬという運命では同じであり、呼吸している(植物は光合成)点でも同じです。出エジプト記の「十戒」には「父と母とを敬え」という言葉がありますが、動物には父親と母親があり、植物にはおしべとめしべがあります。この厳粛な事実は、キリスト教などでは、神が創造したと信じられています。また、海や山、川や大地なども同様です。凄惨な事件が多発する世の中ですが、神が創ったすべてのものに敬意を払うことが、私たちの心を豊かにし、事件を減らしていく鍵であると考えます。

書籍に込めた想い

 単なる聖書と伝承の解説だけではなく「承認欲求」などの現代的病理に関係付けて、読者の関心を引き寄せようと工夫しました。また、単行本では、聖書の順番に目次配列していたものを、文庫改訂版ではテーマ別に配列を変えるなどの修正をしました。加えて改訂版には、自身の精神障害について公開するなど、これまで言及しなかった点に触れました。
 物語の豊富な新約聖書の福音書について、多くのエッセイを書きましたが、学術的な記述はなるべく避け、読者の感性に訴えた想いです。私自身、この出版を通じて、新たな発見をいただきました。

インタビュー

貴著が刊行されました、今のお気持ちはいかがでしょうか。

 費用はずいぶんかかりましたが、出版にいたってよかったと思っています。
特に、プロの編集者や校正業者に表現方法を指摘していただいたことが、その後の文章作成に役立っています。著書を知人に進呈しましたが、感想を寄せてくださったすべての方々から好評価をいただきました。また、キリスト教徒ではない二人の友人が、拙著を買ってくれたのがとても嬉しかったですし、大量の注文をしてくださった方々もいらしたので、頭の下がる思いです。

今回出版しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

 体調が安定した時期に、キリスト教の教理について恩師と学ぶためにやりとりをしていました。それに手応えを感じた私は、記念に出版を考えましたが、適当な出版社が見つからず、出版のことを検討するうちに、テーマそのものを「聖書の物語」にして、ブログに投稿するようになりました。記事が相応の量になったので、再度出版のことを考え、幻冬舎ルネッサンス新社を選びました。また、別の恩師と説教の内容について意見交換をしたことも大きかったと思います。

どんな方に読んでほしいですか?

 聖書に関心のある方に読んでいただくために、表現はできる限り平易なものにしようと心がけました。本書を通じて、聖書に関心を持っていただければと願っています。欲を言えば、若い世代に読んでいただきたいです。

座右の一冊

『聖書協会共同訳』
日本聖書協会

キリスト教徒としては月並みですが、毎日の礼拝と精読には欠かせない書です。
他に
・新約聖書原典
・新約聖書ギリシャ語辞書
・旧約聖書原典
・旧約聖書ヘブライ語辞書

ヒストリー

1998年 9月 オックスフォードにて

 夏の休暇を利用して、恩師の住むオックスフォードを訪問しました。現地には、二度目の滞在となりましたが、天気に恵まれました。けれども、気分は軽いうつ状態で、残念だったこともありました。写真は、近郊の修道院を訪ねた途中のものです。

人生を変えた出会い

 20年以上前に、洗礼を受けた教会の牧師との出会いは、そうであったと思います。また、日本聖公会の様々な牧師、神学校の教授との出会いも恵まれていました。
 柴犬を飼ったのも、当初はトラブルがありましたが、本当によかったと思います。

未来へのメッセージ

 現在ブログで、文庫改訂版と同じテーマで記事を掲載しています。新約聖書から取り上げるものがほとんどですが、ヘブライ語の学習の成果を反映し、旧約聖書をテーマとした記事を増やしていけたらと思っています。
 聖書は現在も、世界のベストセラーですが、このように一冊にまとめられたのは、16世紀頃からです。それまでは、多くは口伝えでした。「黙読する」のも理解を進めますが、「傾聴する」という側面も大切です。聖書に関心を持った方々が、一日一章でも、黙読や朗読を習慣づけていただけたら、聖書の豊かさを味わうことができると思います。