㈱幻冬舎ルネッサンス主催 企画出版コンテスト「命、つながり」大賞作品 結果発表

2020年6月に実施された企画出版コンテストにて
大賞作品が決定いたしました。
大賞に選ばれた今作品は、2021年4月出版予定です。

大賞作品

門をくぐる

横山雄悟:著

あらすじ

医師として生計を立てていた篠原諫は、気が付くと見知らぬ男と舟に乗っていた。男の名前は庄兵衛。彼は暗闇と同化してしまうほどの真っ黒な衣装に身を包み、小舟の行く先や篠原がすべきことを淡々と説明する。余命いくばくの身だったはずの篠原は、眼前の光景がおよそ信じられず、激しく動揺する。しかし、川の流れには逆らえず、篠原は長い人生の中で葬り去ったはずの罪の記憶と向き合っていく。すべての記憶を回収したとき、審判が下される。ふたりが乗る舟が行きつく先は天国か、それとも地獄か。現代版『高瀬舟』ともいえる意欲作であった。

編集長講評

人は決して一人では生きてゆけません。年を経るにつれてだんだんと意固地になっていった篠原は、他者とのつながりを思い出し、赦しを得ることによって人生の終焉を迎えます。家族とのたしかな絆を描いた本作品は、今回のテーマ「命、つながり」に最もふさわしい作品でした。

読み手を作品世界に惹きつけるにあたって、表現力は切っても切り離せない関係にあります。本作は、修辞法をふんだんに活用した語りによって作品の厚みが何重にも増していました。安易で直接的な感情表現を避け、抑揚のある文章を徹底しているところに本作の特筆すべきものがあるでしょう。こういった表現力は応募作品の中でも頭一つ抜きんでていました。

文章表現力、構成力のバランスがとれており、そしてなによりも作品が持つテーマ性が合致していたことが受賞の決め手です。

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