執筆お役立ちコラム

「本を出したい」を叶える4つの方法と「売れる」原稿作りのポイント

自分の本を出したいと考える人の多くは賞に応募したり、出版社に持ち込んだりしているのではないでしょうか。本を出版する方法は主に4通り、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で最適な方法を選ぶことが重要です。

 

また、出版まで至るケースはごくわずかに限られているのが現状です。もしかしたら出版できない理由は、出版社が原稿を見る際のチェックポイントを知らずに文章を書いているからかもしれません。

 

そこで今回は、本を出版する4つの方法を解説するとともに、出版社に本を出したいと思ってもらえる原稿づくりについてご紹介します。

本を出したい場合の方法は4通り

本を出す方法は、主に以下の4通りあります。

  • 自費出版
  • 電子出版
  • 商業出版
  • 企業出版

それぞれメリット・デメリットがあり、本を出版する目的や予算によって最適な方法を選ぶことが重要です。それでは、それぞれの特徴と出版の流れを見ていきましょう。

1.自由度が高い「自費出版」

自費出版とは、その名の通り著者が自ら費用を負担して本を出版する方法のこと。制作から販売まで著者がすべて行う「自己完結型」と、著者が出版社に費用を支払い、制作、流通、販売まで代わりに行ってもらう「代行型(共同出版)」の2種類があります。

自費出版のメリットは、自身の本の内容やデザインを完全にコントロールできること、それに伴い出版までのスピードが比較的早いことが挙げられます。また、利益の大部分を受け取ることができるため、収益性が高いともいえるでしょう。

しかし、出版社が費用を負担してくれることがほとんどないため、出版に関連する経費を自身で賄わなければなりません。また、販売とマーケティングに関する知識と労力、売り上げを上げるためのスキルが必要です。

自費出版の流れ

自費出版は、一般的に以下の流れで行われることが多いです。

  • 1.「自己完結型」か「代行型」かの選択
  • 2. 原稿の作成
  • 3. 代行業者の比較検討・決定・契約
  • 4. 編集・校正
  • 5. 印刷・製本
  • 6. 納品・販売

自費出版でもっとも大切なのは、どんな代行業者を選ぶかです。出版社に出版を代行してもらう場合、どんな出版社を選ぶかによって本の出来が左右されます。制作費用の安さだけで出版社を決めてしまう人がよくいますが、あまりおすすめできません。クオリティの高い本を出版したいのであれば、口コミや評判も参考にしながら複数の出版社をチェックし、総合的に判断した上で最終的に依頼する会社を決めましょう。

出版社に依頼せず自分で本を作成するにしても、印刷や製本は印刷会社に依頼する必要があります。印刷会社によって扱えるサイズや紙の種類、最低ロット数などが異なるため、事前に確認しておくべきです。

また、自費出版で書店への流通も考えている場合は、取次会社との契約も必須です。

2. 手軽かつ低コストな「電子出版」

電子出版は、「Kindle(Amazon)」や「楽天Kobo」などの電子書籍サイトに自分の著書を掲載する形で本を出版する方法です。出版社を通さず本を出版できるという意味では自費出版ともいえますが、紙媒体での自費出版と違って低コスト完全無料で本を出せるのが特徴です。

出版までのスピードがかなり早く、「できるだけ早く自分の本を読んでほしい」という方には向いている方法といえるでしょう。印刷代や売れ残りを心配しなくて良いのも、電子出版のメリットです。

ただし、電子書籍で出版された本は、余程のロングセラーにならない限り、紙媒体での出版はされません。読書をする人の中には「電子書籍よりも紙派」という人も一定数いて、一部の読者にとって好まれない場合があります。また、誰でも気軽に本を出版できる電子書籍市場は競争が激しく、目立つためには効果的なマーケティング戦略が必要です。

電子出版の流れ

電子出版の流れは利用するサービスによって異なりますが、ここでは大手電子書籍サービス「Kindle」の場合の流れを解説していきます。

  • 1.KDPアカウントの登録(Amazonのログイン情報の利用も可)
  • 2.出版に必要な情報(著者・受取口座など)の入力
  • 3.原稿の作成・校正
  • 4.ファイルのアップロード
  • 5.価格設定
  • 6.申請

電子書籍で本を出版する際には、サービスが指定している拡張子で原稿データを準備する必要があります。ほとんどのサービスでWordやHTML、TXT、PDFなどさまざまな拡張子に対応していますが、中には対応していないものもあるため、事前にチェックしておきましょう。

電子書籍で本を出版する際に重要なのは、原稿を入念にチェックすること。出版社のチェックが入らないため、誤字脱字や文法の誤り、情報の正確さには通常以上に気をつける必要があります。一度でも間違った情報を公開してしまうと著者自体の信頼にも関わってくるため、注意しましょう。公開前に自分以外の人にチェックしてもらうのもおすすめです。

3. 売れる可能性が高い「商業出版」

商業出版は、著者の協力を得ながら、出版社が一貫して本の制作からマーケティングまで行い本を出版する方法です。ほとんどの場合は、費用は出版社が全額負担します。本屋に並んでいる本は、ほとんどこの「商業出版」によって出版されたものです。

著者にとっては、クオリティの高い本が作れること、売れる可能性が高いこと、そして費用を負担しなくて良いことがメリットといえるでしょう。

ただし、出版社は利益を得ることを目的としているため、誰でも気軽に出版できるということはなく、出版社が「売れる」と判断した作品のみが出版されます。4通りの方法の中では出版までのハードルがもっとも高い方法といえます。また、著者の意向よりも出版社の意向が優先されることもあるため、自由度はあまり高くありません。

商業出版の流れ

商業出版の流れは、以下の通りです。

  • 1.出版企画書の作成
  • 2.出版社や編集者への売り込み
  • 3.原稿の作成
  • 4.編集・校正
  • 5.印刷・書店流通・販売

商業出版を成功させるためにもっとも大切なのは、著者の企画力、そして編集者との信頼関係です。

商業出版を実現させるためには、出版社の編集会議を通らなければいけません。どんな本を書きたいのかを出版企画書にまとめ、出版社や編集者にアプローチする必要があります。企画段階で編集者に認めてもらえなければそもそも執筆することさえできないため、渾身の出来になるまでじっくりと煮詰めましょう。

また、企画がいくら面白くても、編集者が自社の編集会議で通過させたいと思わなければ、本の出版は実現されません。著者が出版社の編集会議に出席することはできないため、担当の編集者に全面的に依頼する必要があります。著者と編集者の信頼関係がなくては、出版までたどり着くのは難しいでしょう。

多くの人の工数を要する商業出版では、スケジュールを守ることも必須です。

4.企業のブランディングのための「企業出版」

企業出版とは、企業が行っている事業や企業イメージを顧客や消費者に伝えるために本を出版する方法です。主な目的としては、企業ブランディングを通して企業が抱えている課題、採用強化や人材育成などを改善することが挙げられます。

通常、企業のブランディングには、新聞やテレビなどのマスメディアをはじめ、オウンドメディア、Web広告、SNSなどが使われます。そういった手段の1つとして、本の出版を利用するということです。企業が費用を負担するため、内容の自由度が高いのが特徴です。

商業出版が「出版社の利益のために本を出す」ことに対し、「企業が利益(ここでいう利益は単なる売上だけでなく、ブランディングの成功なども含む)を得るために本を出す」のが、企業出版といえます。

企業出版の流れ

企業出版は、一般的に以下の流れで行われます。

  • 1.企画書の作成
  • 2.出版社への提案
  • 3.原稿の作成
  • 4.編集・校正
  • 5.印刷・書店流通・販売

企業出版とはいえ、本を出したい企業が出版に関する知識やノウハウを持っていることは稀です。そのため、企画書を作成し、出版社に持ち込む必要があります。とはいえ費用は企業負担であることが多く、商業出版よりも出版のハードルが低い傾向にあります。

しかし、その分、何を目的として本を出すのかを明確にしておくことが重要です。目的を決めないまま本を出版してしまうと、ブランディングに失敗する可能性がある上に、時間やコストも無駄になってしまいます。

自費出版・電子出版・商業出版・企業出版どれがおすすめ?

上で紹介した本を出版する4つの方法はそれぞれメリット・デメリットがあり、一概にどれが良いとは言い切れません。どういう目的でどんな本を出したいか、予算はどのくらい用意できるか、いつまでに本を出したいかによって、選ぶべき方法は異なります。

しかし、本を出したいと考えている人の多くは、「自分の作品を形にしたい」という想いを抱えている方が多いのではないでしょうか。もちろん売れて収益を得られることも大切ですが、内容やタイトルなどを比較的自由に決められるという点では、自費出版がおすすめです。制作から販売まで著者がすべて行う「自己完結型」の自費出版はハードルが非常に高いため、出版社に本を持ち込んで一連を代行してもらう「代行型」に挑戦してみましょう。

では、出版社に本を持ち込む際にはどんなことに気を付けたら良いのでしょうか。次の章からは、商業出版において本を出す時のポイント、いわゆる「出版社がチェックするポイント」について解説していきます。

テーマ、見出しが重要! 出版社がふるいにかける方法を知ろう

人が書店で本を買うとき、まず見るのは「本のタイトル」と「見出し」でしょう。

本のタイトルを見れば、その本のテーマを大まかに把握でき、見出しを見ることで自分が読みたい内容が書かれているかどうか、興味をひかれる内容かどうかを判断できます。

出版社でも同様に、本のテーマや見出しは最初に見るポイントとなります。出版社がテーマや見出しをどういった観点で見ているのかを解説します。

 

テーマが1つにしぼられているか

テーマとは著者が作品を通して訴えたいこと、教えたいことです。1本の原稿にいくつものテーマを盛り込んでしまうと、なにを言いたいのかがまったく伝わりません。

テーマは1つにしぼり、深く内容を掘り下げて書くことで、文章が全体的にまとまったものになるでしょう。

 

ターゲットは明確か
つくり上げた原稿を、だれに読んでもらいたいかを考えましょう。
たとえば、ビジネス書で営業関連の本があるとします。当然、読み手は営業マンになるわけですが、そこに経営者の哲学や指導論が入っていたりすると、だれのために書かれているのかわからなくなってしまうでしょう。

どういった層をターゲットにしているのか、読み手が明確な原稿は出版社にとっても出版しやすいのです。

 

文章の内容がわかるような見出しか

見出しをつけるのは、「〇〇について書いています」と読み手に情報を与えるためです。見出しがあることによってスムーズに読み進められ、読みたい場所を見つけることができます。

見出しのない原稿は文字がだらだらと並んでいるだけの印象で、読む気を起こさせません。出版社に持ち込んでも、ぱっと見ただけで却下されてしまうかもしれないので気を付けましょう。

また、見出しのつけ方はさまざまですが、原稿のテーマやコンセプトに合わせることが基本です。

  • 文章を読まないでも内容がわかるような見出しにする
  • 専門性の高い内容にはかためのしっかりとした見出しをつける
  • 疑問形の見出しにすることで興味をもたせる

こうして見出しを工夫することで編集者の目に留まりやすく、原稿を読んでもらえるきっかけにつながります。

 

誤字脱字は要チェック! 作品の体をなさない文章はNG

出版社では原稿の入稿後に必ず、校正・校閲をおこないます。このとき、あまりに誤字や脱字が多いと、出版を見合わせられてしまう可能性もあるので十分注意しましょう。

本は一度印刷されて、出版してしまうと修正することはできません。なにかあっても、校正・校閲の段階で気づいてくれるだろうというのは甘い考えです。出版社によっては、予算も時間もないために編集者が1人でチェックする場合もあります。

また、誤字脱字を発見するだけでなく、内容の整合性や事実確認、文章の添削も校正の仕事に含まれています。多忙な出版社の場合、誤字脱字が多く文章の体裁をなさない原稿は企画を通らない可能性が高いと考えましょう。

 

原稿を持ち込む前に校正をしっかりと

書きあげた原稿は、必ず自分で確認しましょう。たとえ間違えていない自信があっても、自分の書いた原稿をつねに疑う姿勢が大切です。自分でおこなう校正のポイントをご紹介します。

・執筆後しばらく時間をおいてから見直してみる

執筆直後は気持ちが高揚していることもあり、冷静に判断できない場合があります。また、書いた内容が頭に入っているので、読み飛ばしてしまうこともあるかもしれません。

しばらく時間を空けてから読み直すことで、客観的に判断して校正できます。

・音読する

目だけで文章を追ってしまうと、間違いがあっても頭の中で文章を修正してしまう場合があります。声に出して読みあげることで、言い回しや句読点の位置がおかしかったり、同じ単語が重複していたりすることに気づけるので、実践してみましょう。

 

忙しい編集者に見てもらうために…作品概要を作っておこう

編集者の仕事は忙しく、つねに何本もの締め切りを抱えている人も少なくありません。自分の原稿を出版するには編集者の目に留まることが大事なので、見てもらえるよう工夫する必要があります。

おすすめは、原稿のほかに作品概要をつくって見せる方法です。

作品概要とは原稿の内容やあらすじをまとめたもので、それを見ればどういう話なのかを短時間で把握することができます。現在、文芸系の賞の多くは作品概要をつけるよう応募規定が設けられていますので、作品概要をつくることに慣れておくとよいでしょう。

注意したいのは、宣伝のために概要を書くのではないということです。

概要はあくまでも本編である原稿をまとめた短編集のようなものなので、編集者に読んでもらえるようなおもしろい文章でまとめるのがポイントです。

本の出版を望むなら、出版社の目に留まるような原稿をつくる努力は必要です。

出版社がなにを見て、どういう理由で出版する作品を選ぶのか、出版社の目線で考えることで出版までの道のりが近づくでしょう。

出版社はつねによい作品を求めています。作品の内容はもちろん、編集者に見てもらう努力も惜しまず、自分の作品を世に出すチャンスをしっかりとつかみましょう。

 

本の出版に関するQ&A

最後に、本の出版をしたいと考えている人が気になるポイント、「本の出版までにどのくらい期間がかかるのか」「本を売るためにはどのくらいの費用が必要なのか」について解説します。

Q.本が出版されるまでにはどのくらいの期間がかかる?

本が出版されるまでの期間は、出版方法によって異なります。

電子出版の場合、原稿さえできていれば数日〜数週間で本を出版することが可能です。自費出版の場合は数ヶ月程度、商業出版の場合は企画から販売まで半年〜1年ほどだと考えておくと良いでしょう。

また、そもそも著者がどのくらいのスピードでどのくらいの文字数を書けるかによっても差が出てきます。当たり前のことですが、執筆に時間がかかればかかるほど、出版までの時間も必要になります。

Q.本を出版するためにはどのくらいの費用が必要?

本を出版するための必要な費用も、出版方法によって大きく異なります。以下に出版方法別の費用の目安(著者負担分)を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 自費出版:100万円〜1,000万円
  • 電子出版:数万円〜50万円
  • 商業出版:基本無料(出版自体には数百万円かかるが著者の負担なし)
  • 500万円~1,000万円

ただし、一般的に著者の負担がないとされている商業出版でも、売れ残りが出た場合の費用を著者が負担するケースもあります。出版社との契約内容によって異なるため、事前に必ずチェックしておきましょう。

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