コラム

読んでもらえる!読者の心を掴む自分史の書き方

自分史を書くということ、それはあなたが自分自身のことを書くということです。自分自身のことを書く、それも人に読んでもらえるような魅力ある文章にまとめるという行為には、一定の難しさがあります。少しでも書いてみた方は、既にお分かりでしょう。

今、こんなことを言われたらどうしますか?

「あなた自身のことを、原稿用紙2枚にまとめてください」

就職試験などで見かける問題ですが、どこから書いたらいいのかを見つけるだけでも難しい。これは、自分史の難しさと共通します。

どうすれば、読者の心をつかむことができるでしょうか。「何を書くのか」「どう書くのか」「どう展開させるか」というポイントに分け、自分史の書き方について考えていきます。

 

書き方のポイント1|何を書くのか

自分史といっても、生きてきた一刻一秒をすべて盛り込めるわけではありません。まずは書くべき事象を選択し、エピソードを積み上げる作業が必要です。

今までで最も印象に残っているイベントは何ですか? 年表やノートを作っていると、「これは書いておきたい」という事象が浮かんでくるはずです。何が起きたのか、周囲の人は何と言い、あなたは何と言って返したのか。心の中から聞こえてきた声は。具体的に書き出してみましょう。

社会的に知られた災害や事件なら、より書きやすいかもしれません。あなたの人生にどんなインパクトがあったのかを掘り下げて書くことができれば、読者との距離は縮まります。

もし生のデータが残っているのなら、集めておくべきです。学校の成績、部活動の試合のスコア、職場での勤怠、売上金額……並べただけでは単なる「記録」にしかなりませんが、エピソードに織り込めば、リアリティーを補強する重要な材料になります。

書くべき材料選び、ひとつひとつのディティール。そうしたすべてが、自分史を豊かにします。

 

書き方のポイント2|どう書くのか

ひとつひとつの事象がいくらあなたにとって印象深いものだったとしても、それが読者に伝わるような書き方をしなければ、良い自分史にはなりません。井上ひさし氏が『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』で言っているように、自分にしか書けないことを、だれにでも分かるように書くのです。(井上、1998

例として「匂い」を取り上げてみます。久しぶりに帰省したとき、実家の匂いを感じて初めて「ああ帰ってきたな」と思った経験は、誰にもあると思います。それはどう表現できるでしょうか。畳のイグサの香り? 漂う仏壇の線香? そして、その匂いが呼び起こす、若いころの思い出があったりしませんか?

読者の鼻の奥に実家の空気が感じられ、読者自身の記憶にもつながる表現ができれば、必ず先も読んでもらえます。色の濃さや触れた感触。暖かさや寒さ、喜びや悲しみ。そうしたものが字面から生き生きと伝わるかが、勝負の分かれ目です。

書き方に決まりはありません。匂いを「色」で表現してもいいし、暖かさを「柔らかさ」で伝えたいこともあるでしょう。具体的な発言内容や生データも使い、五感で感じたことや心の震えが漂ってくるような表現をするよう意識しましょう。

 

書き方のポイント3|どう展開させるか

ひとつひとつのエピソードが生き生きと描けたとしても、全体の並べ方や展開も考えなければいけません。

オーソドックスなのは、時系列に置いていく方法です。しかし、内容や展開によっては単調なものになってしまいます。

時系列をほぼ無視してみたらどうでしょうか。例えば、最も印象深い出来事を最初に置くほうが、効果的な場合もあります。あなたの人生に最も影響を与えた出来事、最も印象に残る出来事を最初に、詳しく描きます。その後で、出来事に至る経緯や、人生にどんな影響を与えたかなどを順に書いていけば、立派な自分史になるでしょう。ビジネス文書で「結論を最初に提示する」という手法と似ているかもしれません。

いっそ、「今」をまず描いてみるのも良いかもしれません。「今」に至る道筋をさかのぼりながら、ひとつひとつの出来事を解き明かすような展開にできれば、読者は最後まで読んでくれるのではないでしょうか。

文書の書き方として、最近では結論を先にする「PREP法」だけでなく、「DESC法」「SDS法」などさまざまものが提唱されています。自分史の書き方も、もっと自由な発想があって良いはずです。

 

まとめ

筆力は必ず伸びます。職業的に文章を書く人たちが全員、生まれついて文章が上手だったわけではありません。多くの人は試行錯誤しながら力を伸ばしていくのです。

自分史には限りませんが、良い文章を書くには、まずは適切な題材を選択する必要があります。題材に合った、読者に最も伝わる表現方法を使うことも欠かせません。題材の並べ方、つまり全体の展開を考えるのも重要です。

普段、家族や友人にメールを書いたり、社内文書をまとめたりする際には、こうした要素についてはっきりとは意識していないかもしれません。しかし、これから実行するのは、読者に手に取ってもらえるような自分史を、本としてまとめるという大事業です。ポイントを押さえながら筆力を上げ、完成を目指しましょう。

 

参考文献:

『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』, 新潮社, 2001年

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