コラム

読み手の心をグッとつかむ! 魅力的な小説の1行目

 

あなたが本を買うとき、何が決め手となっているでしょう。

何気なく手にとった書籍の1ページ目、冒頭の数行を読んで購入にいたる、というケースも多いことでしょう。

特に最初の1行目は、読者を一気に惹きつける可能性を持つ大切な場所なのです。

 

古典的な名作も、その全てを読破していなくとも、書き出しだけは知っているというものが多くあるはずです。

例えば『吾輩は猫である』の「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」や『雪国』の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」は、誰しも知っていますよね。

今回はこのように、心をグッとつかまれる素敵な小説の1行目をいくつかご紹介します。

 

書き出しの印象的な作品

 

綿矢りさ『蹴りたい背中』(2003年、河出書房新社)の書き出し

 

さびしさは鳴る。

 

本作は第130回芥川賞受賞作品です。

当時19歳の若き才能に、選者の山田詠美氏は「もどかしい気持、というのを言葉にするのは難しい。その難しいことに作品全体を使ってトライしているような健気さに心惹かれた」と講評を寄せました。

山田氏も述べるところの、言語化が難しい10代特有の「もどかしい気持」が、まさにこの冒頭に凝縮していると言って良いでしょう。

 

 

村上春樹『風の歌を聴け』(1979年、講談社)の書き出し

 

完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。

 

あまりにも有名な冒頭ですね。

著者の村上春樹氏もこの書き出しは大変気に入っていらっしゃるそうです。

『風の歌を聴け』という一作のみならず、まさに村上作品全体のブランド力を決定づけている文章であるといえます。

 

書き出しのコツ

 

上で紹介したような作品の書き出しを読んで、とてもではないがこのような文章は書けない、と尻込みしてしまった方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに難しいかもしれません──ただしそれは、皆さんが書き出しから書き出しているときに限ります。

つまり執筆する順番で言えば、冒頭をまず最初に書く必要は全くないのです。

 

ストーリーが全てできあがったあとに、全体の雰囲気や結末を踏まえて冒頭の一文を検討することで、作品を最大限引き立てる書き出しをつくることが可能です。

 

まとめ

 

最後に、本コラムでご紹介した内容をおさらいしましょう。

・小説の書き出しは、読者を一気に引き込む勝負の場である。

・優れた作品はその書き出しだけで高い知名度を獲得している。

・書き出しから書き出す必要はない。全て完成してからもう一度冒頭に戻ることで、あなたにも名文が生み出せるかもしれない。

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