執筆お役立ちコラム

「趣味で書いた小説を書店に流通すべきかどうか悩んでいます。」|出版のお悩み相談

今回のコラムでは、

出版の際、あるいは出版を検討する際に

皆さまからよくいただくご質問、ご相談についてご紹介したいと思います。

自分の気の向くままに進める執筆活動は非常に楽しかったという著者様が多いですが、

いざ出版するとなると、

たくさんのことを考え、悩み、苦労をしていらっしゃいます。

その中でも特に多いお悩みの一つが、流通するか否かの判断です。

はじめての出版において、この問題をどのように考えれば良いのでしょうか。

 

ご相談
「趣味で書いた小説の原稿について出版社からアドバイスをもらってみたところ、小説を出版して流通しませんかと提案を受けました。
流通しても売れるはずがないという話もあり、迷っています。
どうするべきでしょうか。」

 

編集者からのアドバイス

ご自身が時間をかけて続けてきた執筆活動の目的を

今一度、考え直してみるのがよいのではないでしょうか。

「本を出したい。」

その目的は十人十色です。

誰にも明かさない自分だけのストーリーも立派な小説です。

友人・知人にだけ伝えたい物語もあります。

あるいは、自身の発想を一人でも多くの人に楽しんで欲しい、

誰かに評価され、コンテストで賞を取りたいなど、

目的をそれぞれお持ちなのではないでしょうか。

書いた作品が万人受けするテーマかどうか、

評価されるレベルかどうかももちろん大きな関心ごとですが、

本当に大事なのは、「何のために書いた作品なのか」ということです。

エッセイや自伝ではなく、小説というジャンルであれば多くの場合、

自分以外の誰かに読まれることを想定して書いていらっしゃるのではないでしょうか。

その「誰か」が自分だけなのか、知人なのか、

あるいは自分を知らない一般読者なのか。

しっかりと考えて結論を出す必要があります。

もしも相談者様がこの「誰か」を事前に明確にイメージをしていなかった場合は、

自身の作品を誰に読んでもらうのか考えることからはじめましょう。

書きはじめた目的を振り返り、

「自身の活動の記録」、「あるいは知人への送る作品」にしたいのであれば、

どんなにできばえが良くても、流通をする必要はありません。

一部の出版社には、無理に全国書店での展開を提案してくるケースがありますが、

安易に乗ってしまってはいけません。

そうではなく、一般読者に読んでもらおうと考えたのであれば、

それを踏まえて原稿のリライトを行うことが重要です。

こういったケースは編集者から一度アドバイスを受けることをお勧めしますが、

例えば、実際にある土地を舞台にしている場合、

現状の舞台説明でそこに住んでいない読者も、

十分に主人公の暮らしをイメージができるかどうか考えなくてはいけません。

また、自分とは違う年代の読者が読んだ際、

理解できない言葉がないかにも気を使う必要があります。

流通する際は知っておきたいのが、出版社・取次ぎ・書店の関係です。

昨今は刊行点数が多く、多いときは1月に7,000冊以上の新刊が出されています。

そのような状況において、

自身の著者が大々的に書店に並べられる可能性が低いことは、

前提として理解しなくてはいけません。

書店に並べるためには、各出版社でそれぞれ取り組みが異なります。

部数が少なく、ISBNコードをつけて世に出すものの、書店に並べる活動ができない出版社、

特定の書店に専用コーナーを持っている出版社、

書店営業部が営業をかけてくれる出版社、

書店営業活動は著者自身が行わなくてはいけない出版社などさまざまです。

書店流通に向けた契約と取り組みはしっかりと確認して選ぶようにしましょう。

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