コラム

読者の心を掴む「書き出し」パターン(1)/小説の書き方講座

読者の心を掴む文章を書く上で大切なのは「書き出し」です。読者が目にする一番最初の部分に関心を引き寄せることで、その後も読み進めてもらうことが出来るからです。

心を掴む書き出しと言われて、みなさんは何を思い浮かべますか?
今まで読んだ本の中で、思わず見入ってしまった書き出しはなんでしょうか?
今回は、それらをパターン化してまとめたものを紹介していきます。上手く書けずに悩んでいる方は、ぜひ参考にされてください。

 

自己紹介や著者の体験談をひと言で書く

 

書き出しで著者の人柄や体験談を書くことにより、読者に対して「どんな人がこの本を書いているのか」「これからどんな話が始まるのか」といった関心を引くことが出来ます。
これは夏目漱石が上手に使いこなしていた書き方です。まずは以下の例文を読んでみてください。

 

『吾輩は猫である』の書き出し
吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

『坊っちゃん』の書き出し
親譲の無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。

 

いかがでしょうか?
特に『吾輩は猫である』は、いったい何が始まるんだ?と思わせる興味深い書き出しです。何を言っているのか、読者の常識では見当がつかないほどの表現ではなく、かと言って何が起きるのかも分からない。先が読みたくなってしまう上手な書き方です。

 

目に見える情景をひと言で書く

 

次は、小説やエッセイなどでよく見かける最もポピュラーな書き出しです。まずは以下の例文、竹久夢二が著した書き出しを読んでみましょう。

 

『都の眼』の書き出し
留吉は稲田の畦に腰かけて遠い山を見ていました。いつも留吉の考えることでありましたが、あの山の向うに、留吉が長いこと行って見たいと思っている都があるのでした。

『大きな蝙蝠傘』の書き出し
それはたいそう大きな蝙蝠傘でした。幹子は、この頃田舎の方から新しくこちらの学校へ入ってきた新入生でした。

『日輪草』の書き出し
三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。

 

以上のとおり、まず著者や主人公目線で見た情景を書き出していることが分かります。これが小説であれば、読者に物語の舞台や状況を理解してもらう上で役立ちますし、詩やエッセイであれば、情景を思い浮かべてから本文に入ってもらうことができます。
何れも作品への“入り”をスムーズにする役割を担っており、読者はストレスなく読み進めることが出来るでしょう。

 

次回も引き続き、書き出しのポイントについてお伝えします。

(出典:すべて『青空文庫』

 

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