再掲
そもそもの疑問としてあるのは、経済学という学問は世界の人、いや、人類を幸福にするものだろうか?そんな疑問をずっと持ち続けてきたのである。
確かに貨幣で動く市場経済という枠組みは破壊することは不可能であろう。しかしその枠組みを組み替える、あるいは欲望という本能の行き先を考え直すことで大きく変化するように思う。
自分自身は経済学を真剣に勉強したことも専攻したこともない理系頭の人間であるので、とんちんかんな書評になってしまうかもしれないけど、本書に関して少しだけ書いてみたいと思う。
下の目次に示した通り、網羅的に経済という流れが示されている。世界と日本の関わりなんかも分かりやすい。奇跡とも称される、日本の戦後復興が朝鮮戦争特需で説明されるが、果たして、その復興における割合はどの位のものであったのかは定かではない。またもしこの文脈が高い確率で正しいのであれば、間違いなく戦争というイベントは経済という枠組みの中である意味において非常に効果的な処方箋なのであろう。戦争という仕事が普通に成り立つのである。
さらに、G5から始まる先進国の協調介入による経済政策は先進国というコンテクストでは非常に正しいのだろう、しかしそれは逆に先進国の利己的な戦略ではないのだろうかと思う。
読んでいて面白かったのは、こんな矛盾が存在することでした。
「浪費は悪、節約は美徳」という金言は個人の場合は正しくても、社会全体から見れば間違いということになるのです。こういうのを「合成の誤謬」と呼びます。P76
またGDPやGNPの説明の中で触れられていませんでしたが、物々交換の経済は数字にあられませんから、経済的には後進性を示すのかもしれませんが、果たして物々交換の社会が不幸せであるのか?という疑問に経済学は残念ながら答えてはくれないのでしょう。
最近はデリバティブという魔物が個人や特定の集団により操作されて国家の経済枠組みまで影響するようです。これも人間の欲望なんでしょうかね。それとも経済学の必然なんでしょうか。

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初歩の経済学 単行本 – 2007/3/23
高本 茂
(著)
新聞の経済欄が読みたくなる!
- 本の長さ159ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎ルネッサンス
- 発売日2007/3/23
- ISBN-10477900148X
- ISBN-13978-4779001482
商品の説明
出版社からのコメント
実際に大学生が経済学の授業で使用しているテキストです。一般の経済入門書を読む前に一読しておくのが効果的です。
著者について
経済学博士。大阪大学文学部哲学科卒業。京都大学大学院経済学研究科博士課程終了。兵庫大学経済情報学部教授。
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年10月25日に日本でレビュー済み
国際分業と貿易について、著者は次のように解説しています。
各人が得意な職種に特化すれば、弁護士と秘書の身分を固定し、収入の格差を縮めることはできないのです。現に第2次大戦まで、ブラジルはコーヒー、スリランカは紅茶、ガーナはカカオの生産に特化していました。農産物は作柄や気候の影響を受けやすく、30年代の大不況のときにそれらが大量に売れ残り、それらを海洋に廃棄する他はありませんでした。第1次産業だけに特化すれば、産業革命(アルビン・トフラーの言葉を借りれば第2の波)による工業化がいつまでも進まないことになります。ドイツのフリードリッヒ・リストは当時の途上国であったドイツの現実から、国内産業の保護・育成のために、高い関税をかけるなど国家が統制を加える保護貿易主義を唱えました。
各人が得意な職種に特化すれば、弁護士と秘書の身分を固定し、収入の格差を縮めることはできないのです。現に第2次大戦まで、ブラジルはコーヒー、スリランカは紅茶、ガーナはカカオの生産に特化していました。農産物は作柄や気候の影響を受けやすく、30年代の大不況のときにそれらが大量に売れ残り、それらを海洋に廃棄する他はありませんでした。第1次産業だけに特化すれば、産業革命(アルビン・トフラーの言葉を借りれば第2の波)による工業化がいつまでも進まないことになります。ドイツのフリードリッヒ・リストは当時の途上国であったドイツの現実から、国内産業の保護・育成のために、高い関税をかけるなど国家が統制を加える保護貿易主義を唱えました。
2009年3月25日に日本でレビュー済み
「財政、金融と聞くと頭痛がするあなたへ」と見出しをつけるだけのことはあるな、と1ページ目を開いてすぐ、感じました。
なにより字が大きい。
小学校の教科書並ではないでしょうか。
これだけでも頭の痛みは和らぎます。
経済、金融大好き!な方は細かい文字がぎっしり詰まった専門書を楽しく読むんでしょうが、得意じゃないけど読まなきゃならない、という切羽詰まった方にはおすすめです。
この本ならとりあえず読んでみる気になると思います。
なにより字が大きい。
小学校の教科書並ではないでしょうか。
これだけでも頭の痛みは和らぎます。
経済、金融大好き!な方は細かい文字がぎっしり詰まった専門書を楽しく読むんでしょうが、得意じゃないけど読まなきゃならない、という切羽詰まった方にはおすすめです。
この本ならとりあえず読んでみる気になると思います。