ごく普通のありふれた夫婦の今生最期のお話。妻の発病少し前から臨終までの記録が、遺された夫の手によって日記形式で綴られている。実に素晴らしい記録なので味読していたら、読み終わるまでかなり時間がかかってしまった。
「人の苦しみは、本人にしか分からないと、良子の「がん」宣告を受けて、よく分かった」と著者が言うように、この夫婦の苦しみはこの夫婦にしか分からない。本書を精読していくら想像を膨らませても、読者にはこの夫婦の苦しみは絶対に分かり得ない。
しかし、著者が妻に投げかける何気ない言葉やさりげない行為のひとつひとつには溢れんばかりの愛情が込められていて、その情景には大変心を打たれる。濃厚なしじみ汁の雑炊を妻に作ってやる場面などは本当に何気ない日常の記録でしかないが、読者はそこに妻の肝臓を労る著者の愛情を機敏に察知することが出来る。6月15日の日記なども実に感動的で、涙を禁じ得ない。夫婦の苦しみや幸せは第三者には到底理解できないものかもしれないが、彼らの何気ない言葉や行為は読者の心にとても響く。
なんと言葉にすればいいのかわからないが、当事者にしか理解出来ない苦しみだからこそ、この苦しみはその当事者性という点において普遍性を帯び、読者の胸を打つのではないだろうか。読者もそれぞれに自分にしか分からない苦しみや幸せを胸に抱いて生きているのである。
人が生きるということ、死ぬということの普遍性が、とてもよく描かれている。内容詳細には「悲劇」「胸をえぐる」などと書かれているが、全然そんなことはない。読後感はむしろ爽やかである。文句なしに星5つの記録だ。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥1,320¥1,320 税込
ポイント: 40pt
(3%)
無料お届け日:
4月1日 月曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥1,320¥1,320 税込
ポイント: 40pt
(3%)
無料お届け日:
4月1日 月曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥329
中古品:
¥329

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
良子という女 単行本 – 2018/3/15
野村 よし
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,320","priceAmount":1320.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,320","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"E57CNhjJKFYylXa9itQTbZjPxeP0eVFmm7yGJGrshuMepIJ6rwN47wk5i6TlIBOKXJvtdelrAKRV%2BI1T2I3BkL4eanfcQUIDHDSWwGrq5ARk6qKBObQDHgXTA5QrUwSWshcKTcBliJ8%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥329","priceAmount":329.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"329","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"E57CNhjJKFYylXa9itQTbZjPxeP0eVFmGXbWFoXQKFSJTJaIdyhDzPTsMVEnp5GE11RdWUrFuRJuiiRV4r%2BRSV9rslGDDdMp1FtBEHKXW6Q%2BO5olH8lzVz%2BK5xclJC9vGU1J4E4r8QDRw6qjI%2Fu15JzVinObLdwbiDEHl%2BZ4EvQsNqDVz2COlg%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
「俺より先に死ぬな」 夫が妻に託した願いは、その宣告で一瞬にして裏切られた。
「妻より先に死にたい」「死ぬならがんで死にたい」
最初は自分が死ぬときに備えて、書き残すためのメモ書きに過ぎなかった。
「余命1年」の宣告が、妻に告げられるそのときまでは。
「がんでない可能性」という気休めにもならない医者の言葉とは裏腹に、
妻はだんだんと弱り、受け入れたくなくても受け入れざるを得ない現実に直面する。
これは、所詮赤の他人が書いた看取りの記録、ではない。
誰にでも起こる悲劇である。
決して目をそらしてはならない、大切な人を看取ることの現実がここにはある。
「妻より先に死にたい」「死ぬならがんで死にたい」
最初は自分が死ぬときに備えて、書き残すためのメモ書きに過ぎなかった。
「余命1年」の宣告が、妻に告げられるそのときまでは。
「がんでない可能性」という気休めにもならない医者の言葉とは裏腹に、
妻はだんだんと弱り、受け入れたくなくても受け入れざるを得ない現実に直面する。
これは、所詮赤の他人が書いた看取りの記録、ではない。
誰にでも起こる悲劇である。
決して目をそらしてはならない、大切な人を看取ることの現実がここにはある。
- 本の長さ501ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2018/3/15
- 寸法19.5 x 13.7 x 3.1 cm
- ISBN-104344916018
- ISBN-13978-4344916012
商品の説明
著者について
■ 野村 よし/ノムラ ヨシ
昭和17 年(1942)4 月、徳島市生。横浜市在住。
早稲田大学第一文学部(演劇)、工学院大学機械工学部、ともに「中退」
多くの職場を転々とする。
昭和39 年(1964)年、義兄に招かれ、その経営する鉄工所に入社。
半生を番頭として過ごす。
昭和17 年(1942)4 月、徳島市生。横浜市在住。
早稲田大学第一文学部(演劇)、工学院大学機械工学部、ともに「中退」
多くの職場を転々とする。
昭和39 年(1964)年、義兄に招かれ、その経営する鉄工所に入社。
半生を番頭として過ごす。
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
1グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。