本書はTPPの先駆けとなったAPEC成立過程を生々しく描いた裏面史である。
(1)本書では貿易摩擦への対応とその解決プロセスが語られている。
読者はこれら臨場感あふれる貿易摩擦のせめぎ合いを目の当たりにするため、
ここからTPPの空中分解がアメリカの先祖返りだということを理解するだろう。
(2)APEC成立にあたりの《二つの日本という問題》がオーストラリアの
特使から指摘されている。
これは日本の方針、すなわち外務省と通産省の方針がまったくかみ合っ
ていないという指摘で、これが表面化した場所はインドネシアである。
交渉に同席した外務省の日本人通訳が露骨な妨害をするシーンは本書を
一読すれば理解できるが、本書では1988年当時のインドネシア大使が誰
だったのか名前は伏せられている。
そこで調べたところ、これは枝村純郎氏だった。
★1932年、京都生まれ
★インドネシア大使・・・・1987年から1990年
★ソ連大使・・・・・・・・1990年から1993年
★1994年4月、外務省退官
《北方領土・特命交渉(講談社/2006年)》には「あきれた人物」と
紹介されており、「古い考えに凝り固まった外交官で、何をいっても
動こうとしない」とある。
オーストラリアのウールコット特使が何を感じたか推して知るべし。

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ある官僚の軌跡 ―APECの創設にいたるまで― 単行本 – 2017/2/2
村岡 茂生
(著)
- 本の長さ398ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2017/2/2
- ISBN-104344910079
- ISBN-13978-4344910072
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2017/2/2)
- 発売日 : 2017/2/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 398ページ
- ISBN-10 : 4344910079
- ISBN-13 : 978-4344910072
- Amazon 売れ筋ランキング: - 962,690位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 112,571位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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2017年2月10日に日本でレビュー済み
元通商産業審議官を務めた村岡茂生氏の回顧録である。
通商産業省(現経済産業省)入省後、様々な分野で活躍された軌跡が余すところなく記されている。
筆者は、後年、省内ではいわゆる「国際派」に属することとなり、アメリカをはじめ諸外国との様々な通商・貿易交渉に当たってこられた。
特にAPECの創設に関しては、相当に尽力され、やはり日本の官僚は勤勉で優秀なのだなあとの感慨を新たにした。
この本は、交渉術についても参考になると思われるので、ビジネスパーソン各位にもお勧めの一冊である。
通商産業省(現経済産業省)入省後、様々な分野で活躍された軌跡が余すところなく記されている。
筆者は、後年、省内ではいわゆる「国際派」に属することとなり、アメリカをはじめ諸外国との様々な通商・貿易交渉に当たってこられた。
特にAPECの創設に関しては、相当に尽力され、やはり日本の官僚は勤勉で優秀なのだなあとの感慨を新たにした。
この本は、交渉術についても参考になると思われるので、ビジネスパーソン各位にもお勧めの一冊である。