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『場面の描写』が下手な作家に試してほしい、誰でもできる簡単描写

 

面白い小説は『場面の描写』が上手な作品であると言えます。
場面の描写が上手とは、著者自身が考えた世界観を巧みに表現し、読者を惹き込む表現力があることです。

このように言うと、何か特別な感性が必要であったり、並外れた文才がなければ出来ないと思われがちですが、基本的な場面の描写は決して難しいことではありません。

今回は、たった3つのステップで表現力を向上できる方法をお伝えしていきます。

 

場面描写の基本は、「人」「物」「自然・環境」の情報を抜き出すこと

 

場面描写をする際は、書きたい場面を思い浮かべたり、実際に書きたい場所へ足を運ぶのが1番ですが、今回は写真を例に実践してみます。
まずは以下の写真を見て、ノートやメモ帳に3分以内で描写をしてみてください。

 

 

いかがですか?誰が見ても分かりやすい場面描写ができたでしょうか。

 

では次に、もう1度写真を見ながら以下の3項目に絞り、1分以内にメモを取ってください。

 

・人(その場には自分以外に誰がいるか)
・物(手にとって触れるものなら何でもOK)
・自然、環境(例えば、植物や気候。それらの状態や感触、においなど五感で感じられたもの)

 

 

いかがでしょうか?

回答例はこちらです。

・人=子どもがふたり
・物=三脚とカメラ
・自然、環境=たんぽぽ畑、曇り模様

こんな事が書き出せるのではないでしょうか。最低でも1項目に対し1つ以上書き出せていればOKです。これで場面描写の土台ができました。

 

お手本はフォークソング!?余情的な言葉を肉付けしていく

 

次にここから、より余情的な文章に仕上げていきます。
しかし、余情的といってもすぐそのような文章を書くのは難しいですから、すでにある作家の作品を参考にしてみましょう。特にオススメなのは、昭和のフォークソングです。

例として、イルカが歌う『なごり雪』(作詞:伊勢正三)の歌詞の一部を見てみましょう。

汽車を待つ君の横で
ぼくは時計を気にしている
季節はずれの雪が降ってる
「東京で見る雪はこれが最後ね」と
さみしそうに 君がつぶやく
(中略)
動き始めた
汽車の窓に 顔をつけて
君は何か 言おうとしている
君のくちびるが
「さようなら」と動くことが
こわくて 下を向いてた
(出典:歌ネット

 

余情的で少し寂しい感じがする歌詞ですね。
今すぐにこのような文章を書くのは難しいかもしれませんが、実はこれも、人・物・自然、環境の3項目から成り立っているのです。

・人=汽車を待つ君、時計を気にしている僕
・物=動き始めた汽車
・自然、環境=季節はずれの雪

このように、『なごり雪』も3項目を軸に余情的な言葉で肉付けし、美しい詩に仕上げているわけですから、基本は同じです。

 

自分自身との関係性を描く

 

そしてもう1つ注目してほしいのは、『なごり雪』ではいずれの項目も“僕”との関係性を描いていることです。

・人=“僕”は本当は乗って行ってほしくないのに、汽車に乗ろうと待っている君
・物=時計を気にしている“僕”に構わず、動き始めた汽車
・自然、環境=“僕”の感覚ではもう春なのに降っている、季節はずれの雪

基本の3項目を、“僕”である自分との対比や距離感といった関係性を描いています。つまり、場面の描写には優れた感性や文才が必要なのではなく、自分と人・物・自然、環境の距離をはかり、関係性を確認するだけで十分描けるのです。
そう考えてしまえば、とても簡単に思えませんか?

3つの項目を書き出す

自分との関係性を描く

余情的な言葉で肉付けする

たった3つのステップで完了してしまうのです。

 

これを最初の回答例を元に実践してみると、以下のようになりました。

 

 

・人=子どもがふたり
・物=三脚とカメラ
・自然、環境=たんぽぽ畑、曇り模様


・人=本当は離れたくないのに、いずれ別居しなければならない子どもがふたり
・物=最後に記念撮影をしようとする僕を拒むように、子どもの小さな手でガッシリと掴まれたカメラ
・自然、環境=綺麗なたんぽぽ畑は記念撮影に相応しいけれど、空は僕たちの気持ちを吸い取ったような、どんよりとした曇り空

最初と比べて、上記の場面描写からはいろいろな事が想像できるはずです。
“僕”と子どもの家庭環境、子ども達がカメラを渡すまいとする理由、きれいな花畑のはずが、そこに漂う悲しい雰囲気…。
読者の想像を掻き立てる世界観を表現できました。

このように場面の描写は簡単に、誰にでもできるものですから、チャレンジしてみてくださいね。

 
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