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自分史を書く前に!知っておきたい基本のキ|自分史出版講座

『自分史』や『自伝』の流行に伴い、自分史の書き方をまとめた書籍や、味のある書籍が簡単に作成できる自分史制作キットなど・・・。誰でも手軽に自分史を書き始められる環境が整っています。

前回に引き続き、そんな自分史の執筆・出版をしたいと考えている皆さんに、基本的な書き方や出版する上でのポイントをお伝えしていきます。

そもそも「自分史」ってどんなもの?

自分史とは、一個人が自分の生い立ち、経験、成長、変遷などを記録・整理し、自分の人生を物語として作り上げたもののこと。日記や手記、自伝、エッセイなど、さまざまな形で表現されます。

自分史と聞くと、高齢の方や何らかの分野で成功を収めた人が制作するもの、というイメージを持つ方もいるでしょう。しかし、必ずしもそうとは言い切れません。どんな人でも、自分の人生に焦点を当て、振り返り、成長や経験を整理するための手段として自分史を作ることができます。

また、自分史は書物として出版するだけでなく、就活の自己分析や自己PRの一環として使われることもあります。幼少期からこれまでの人生を振り返ることで、自分の価値観や考え方、行動基準などを理解することができるのです。

自分史を出版するメリット

自分史を出版することには、以下のようなメリットがあります。

・自分自身について深く知るきっかけになる ・子供や孫に自分の人生を伝えることができる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自分自身について深く知るきっかけになる

自分史を書くためには、過去の出来事や経験、感情に向き合い、それらを整理し、振り返る過程が欠かせません。

そしてこれらの過程は、自分自身の価値観や信念、強みや弱みなどを深く知るきっかけになります。 自分では思い出したくないような辛い過去でも、振り返ってみると実は人生の糧になっていた、ということは多々あります。

自分史を通じて自分に対する理解を深めることで、将来の方向性や人生の目標を見つけるきっかけにもなるはずです。 また、自分史を書くために自分の過去を振り返ることは、過去の辛い経験を乗り越えた自分を肯定したり、自分を支えてくれた人の有り難みを再認識するきっかけにもなります。

子供や孫に自分の人生を伝えることができる

自分史を出版することは、家族や後代のために自分の人生を伝える手段になります。 本来、業界で活躍していたり何らかの成功を収めた人でない限り、自分のことを後世に残すのは簡単なことではありません。

しかし自分史を制作すれば、自分がこの世を去った後でも、自分の子供や孫が、自分の人生について知ることができます。 自分の人生を後世に残す手段としては、映像やインターネットサービスを利用する手もあるでしょう。しかし、時代が移り変わればそれらは廃れてしまう可能性があるため、書籍として形に残せる自分史がおすすめなのです。

自分史を書くために必要な準備

自分史を書くためには、まずは自分史を書く目的をはっきりさせておく必要があります。納得できる自分史を作るためには、「自分の将来の方向性を見つけるため」「家族や後世のために自分の歴史を残すため」など、読み手と目的を明確にしておくことが重要です。 さらに、大まかな完成図をイメージしておくことも大切。

そうすることで、途中で迷走してしまったり一から作り直すことになったりするのを防げます。 また、実際に自分史を書き始める際には、書くためのツールも準備しておく必要があります。ノートとペン、付箋、パソコンなど必要なものを用意しましょう。

いきなりパソコンに向かうより、まずは思いつくままに手書きで書いてみるのがおすすめです。昔の写真や映像などがあると、当時の出来事を鮮明に思い出すことができますよ。

自分史の書き方を4ステップで解説

自分史を書く方法は人によってさまざまで、決められた方法はありません。とはいえ、何から始めたら良いのか分からないという場合もあるでしょう。基本的には、以下のステップで書き進めていくのがおすすめです。

1. まずは自分の年表や履歴書をつくろう

2. 期間毎に分けて思い出を書き出す

3. 時代背景をまとめる

4. テーマと構成を考える

それぞれのステップの詳細とポイントを解説していきます。

まずは自分の年表や履歴書をつくろう

自分史は著者自身の人生が土台となり、人生のターニングポイントとなった出来事をピックアップしながら、内容が形成されていきます。
そのため、まずは自分を理解できるように、これまでの人生を振り返しってみましょう。方法としては、年表や履歴書の作成と大差ありません。

期間毎に分けて思い出を書き出す

年表は、まずはざっくりと6つの時期に分けてみましょう。
誕生した時、幼年期、青年期(学生時代)、若年期(社会人なりたて)、中年期(社会人時代)、晩年期。以上に分かれます。著者の年齢によっては、晩年期はカットしてください。

それぞれの期における出来事や感じたことなど、思い出を箇条書きにしていきます。嬉しかったこと、辛かったことなど、何でも構いませんので、とにかくどんどん出してきましょう。どの期でどの程度の思い出があるかは人それぞれですので、期ごとの文章量にばらつきがあっても問題ありません。

*身元の調べ方
自分の正式な身元を調べるには、役所から戸籍謄本や除籍簿などを受け取りましょう。亡くなった親族については、当人の墓場が確認できるのであれば、位牌や過去帳から調べることができます。生存している周りの親族や墓場のあるお寺の方に協力してもらい、情報を集めましょう。

時代背景をまとめる

自分のことに関して書き終えたら、次に時代背景をまとめていきます。同時期に日本や世界で起きた社会現象、事件、天災、著名な人物などを調べましょう。

時代背景をまとめることで、著者がどのような環境下にあったのか、著者の行いは世の中とどのような繋がりがあり、どんな影響を与えるのか見ててくるため、文章に説得力が増します。
読者に取っても、著者がどのような人物なのかイメージしやすく、スムーズに内容を受け入れることが出来るでしょう。

*参考資料の集め方
図書館や新聞社で当時の情報を集めます。メジャーなニュースは全国誌から。地方に住んでいる場合、地方地誌や現地の資料館などから情報を収集できます。

時代背景までまとめ終わったら、自分はどのような環境で、どんな人生を送ってきたのか、大まかな流れが出来上がるはずです。その後は特に印象に残っている思い出から順に、詳しく展開していきましょう。当時何があったのか、どんな事を考えて、どうなったのか。この時点ではまだ構成を考える段階なので、本格的に文章化せず短くまとめておきます。

テーマと構成を考える

ここまで終えたら、いよいよテーマと構成を決めます。
年表を参考に、過去から現在までの出来事の中に見える『共通点』を探します。それがあなたの自分史のテーマになります。いつも考えていた、感じていたことは何でしょうか。

例えば、「感謝」という気持ちは一般的によく使われているテーマですね。他にも、激動の人生を送ってきた人なら、「熱意」や「熱狂」など。なかなか思い浮かばない場合は、書店で自分史を集めたコーナーに行き、タイトルを見てどんなことをテーマに挙げているのかチェックしてみましょう。

テーマが決まったら、次は構成です。自分史の構成は、一般的な文芸書の構成の考え方と大差ないと考えて構いません。年表を書き綴っていくだけの単調な文章では、読者はあまり共感してくれません。ターニングポイントとなった出来事を中心に、起承転結を意識した構成にしていきましょう。
※構成については、過去のコラムを参考にしてください。構成が決まったら各項についてさらに深掘りし、本文を書いていきましょう。

自分史を書く際に意識したいポイント・注意点

ここからは、実際に自分史を書く際に意識したいポイントや注意点についてお伝えしていきます。効率的に、かつ自分が納得できる自分史を作り上げるために、ぜひチェックしておいてくださいね。

エピソードは「5W3H3S」で思い出す

エピソードを思い出す際には、以下の「5W3H3S」で思い出すのがおすすめ。できるだけ鮮明に振り返ることで、読者にリアルな情景を伝えることができます。

● Who:誰が中心のエピソードか
● When:いつ起こったのか
● Where:どこで起こったのか
● What:何をしたのか
● Why:なぜその出来事が発生したのか
● How:どのようにその出来事は発生したのか
● Howmuch:その出来事に金額は発生したか、またはいくら発生したか
● Howmany:どのくらいの規模(長さ・時間・距離など)で起こったか
● Smell:どんな匂い・香りだったか
● Sound:どんな音や声がしたか
● Sense:どんな感覚や感情が芽生えたか もちろん、すべてのエピソードで

上記すべてを振り返るのは難しいと思います。まずは、いわゆる「5W1H」から始めてみましょう。

嘘をつかない

自分史を書く際には、真実を基に、嘘をつかないで執筆することが重要です。 過去の経験や自分の感情を文章に起こそうとすると、どうしても「良く見せたい」「いい人だと思われたい」という思考になってしまいがち。

しかし、嘘をついたり話を盛ったりしてしまうと、書いていく中で矛盾が出てきてしまいかねません。また、自分自身について正しく振り返ることができなくなり、そもそも何のために自分史を作っているのか分からなくなってしまいます。

基本的に、自分史は自分や自分の周りの身近な人たちに向けたものです。自分を良く見せようとするのではなく、本当の自分を知ってもらうように書いていきましょう。

挫折や失敗などの経験も入れる

自分史には、過去の成功や喜びの感情だけでなく、挫折や失敗などの経験や辛かった思い出なども描くことも重要です。

生きていたら誰にでも、苦い過去や辛い思い出が一つや二つあるもの。むしろ挫折や失敗の経験こそが成長につながることもあるでしょう。そういったエピソードもしっかりと盛り込むことで、豊かで厚みのある自分史になります。

また、読者が自分以外にいる場合、挫折や失敗を共有することで、読者自身が困難に立ち向かう勇気を得ることができます。過去の挫折や失敗などの経験は、自分にとっても他の人にとっても糧になり得るのです。

日常の小さなワンシーンも記しておく

自分史には、大きな出来事だけでなく、日常生活の小さな瞬間や感動も記録に残すことが重要です。

自分史を書こうと昔のエピソードを思い出そうとすると、どうしても「賞をもらった」というような大きな成功や、「引っ越しをした」「転職した」などの人生の転機となった出来事ばかり思い出してしまいがちです。

しかし、あなたの人となりはあなたの日常にこそ潜んでいます。 昔の自分がハマっていたものや友人とよく行っていた場所など、小さなエピソードも思い出してみましょう。自分では「些細かも?」と思うことでも、日常の出来事は、読者にとってもあなたに親しみを抱く要素となります。

自分史に関するよくあるQ&A

自分史に関わらず、書籍を出版する方法は、全部で以下の3通りあります。

● 企業出版:著者の原稿をもとに、出版社が費用を負担して本の制作からマーケティングまで一貫して行う

● 電子出版:「Kindle(Amazon)」や「楽天Kobo」などの電子書籍サイトに自分の著書を掲載する

● 自費出版:著者が自ら費用を負担して本を出版する 企業出版であれば金銭的な負担を最低限に押さえながら本を制作できますが、どうしても利益を考えたり出版社の意向に沿ってデザインを決めたりする必要があります。また、電子出版だと、書籍として形に残すことができません。

そのため、自分史を出版する場合、自費出版がおすすめです。自費出版であれば、出版社の意向を気にせず内容やデザインを自分の好きなように制作できます。また、自分が執筆した原稿が1冊の本になっていく過程すべてに関われるのも、自費出版の魅力ですよ。

自分史を出版する費用の目安は?

自分史を出版する際にかかる費用の目安は、数十万円〜100万円程度です。

ただし、どのような方法で出版するか、どんな大きさでどのくらいのページ数の本にするかによって出版費用は異なります。大判でしっかりした紙を使ったり、カラーページを多くしたりする場合はそのぶん費用がかかるというイメージです。

また、印刷を依頼する業者によっても金額は異なります。自分史を制作する際には、どの工程を外注するのかを明確にした上で、複数の業者から相見積もりを取って比較検討することが重要です。

以上が自分史の基本的な書き方になります。
基本さえ掴んでおけば、プロの作家のようにアイデアや文章力が無くても、原稿を書き進めることができます。あまり気張らず、時間のあるときに少しずつ年表をつくっていきましょう。

これまでの人生を今の視点でまとめていくことで、必ず新しい気付きがあります。そんな自分史の魅力を、ぜひ感じてみてください。

次回は、自分史のジャンルについて知りましょう。

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